第4話 勘違いモノについて 

文字数 1,180文字

 勘違いものには、「オーバーロード」や「魔王様リトライ」のように自分の言動に対し、部下達や周囲が深読みなどの結果、過大評価が進むことに、ギャップを感じながらも何とか苦労してやっていく系統と「影の実力者になりたくて」「俺は全てをパリィする」のように自分も周囲も異なった勘違いをして進んでいくものとがあるように思えます。
 前者は、主人公の能力や何とか辻褄を合わせる言動をどうするかということが、面白さのバロメーターになると思います。両作品は、そこがうまく収まっていると思います。
 後者は、勘違いの調整が問題になっています。「陰の実力者になりたくて」だと、現実を全く無視する主人公の感性にだんだんついていけなくなりますし、「俺は全てをパリィする」では、その世界で生まれ育っているのに、その世界の常識なども欠如しているのは、おいおい、と思ってしまいます、勘違いの落差を大きく際立たせるためのものでしょうが、無理を感じます。他方、調整しすぎると、その作品の持ち味が大きく減速、単なる無双ものになってしまうか、そこでお仕舞になってしまうでしょうから、難しいところでしょう。

 念のためですが、ここで取り上げるものは、私が面白い、魅力を感じると思ったものだけですので。

 ところで、「オーバーロード」ですが、リ・エスティーゼ王国殲滅戦で、アインズの偽りの身であるモモンの登場がなかったことが不満でした。魔導国に対する人間達の保護者と対峙・協力することになっている彼が、全く我関せずではせっかく打ち立てた彼への名声、信頼が崩れてしまいます。
 だから、モモンは、密かにかなりの人数の避難者を守り、無事避難させ、避難先を守っていたという姿を描き、
「なぜ、アインズ様は我々の、さらにはご自分自身の邪魔をしたんだえ?」
「そ、そうか。モモンはこの行為で、アインス様に反対することを辞さないことを示すと同時にアインズ様には歯向かわないことで、その立場を明らかにして、人間達からの信頼をより強め、さらに魔導国の恐ろしさをより鮮明にすることになる。そこまでアインズ様は、考えたておられたのか・・・流石にアインズ様。一手も、二手も先を読んでおられた。」
「でも、何で僕たちに黙っていたんだろう、アインズ様は?」
「それは・・・。」
「多分、アインズ様は、私達に手加減させてはいけないと思われたんじゃないかしら?今回は、魔導国の恐ろしさを示すことが第一目的だから、それが疎かになってはいけないと思ったんじゃないかしら?」
「そこまで、先を見て、我々を思っていたとは・・・流石アインズ様。」
「では、王都は全力で殲滅するのがアインズ様のご意志ということなのだな?」
「もちろんじゃない?」
「わ、私、頑張る!」
 部下たちのその決意で、モモンことアインズは、王都で少しでも多くの人間達を救うため、さらなる苦労をする姿。
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