第15話 ボスボロット対デューク・フリード

文字数 2,077文字

 デューク・フリードの地球妃ヒカルの出産した男の子を地球の将来の統治者、地球公にすると、デュークが宣言したことで、それを祝う式典などが地球各地で開かれた。
「地球の人達も喜んでくれるだろう。」
というデューク、本心からであり、反対する声も多い中での決定だった…が。
 夜な夜な、その一つを破壊するものが。ボス、ヌケ、ムチャ3人が操縦するボスボロットだった。
 「ボス…。こんなことしても…。」
「甲児もさやかさんも生き返る訳でなし…。」
「馬鹿野郎。甲児やさやか達の死を無駄にするつもりか?」
と叱咤するボス。その顔も疲れているように見えた。
 直ぐに、フリード王国警察隊が…。逃げてもこの巨体、直ぐに発見される。ここに来るまではステルス機能で来れたが、彼ら相手には、その程度のステルス性能など無きに等しい。もう発見される、何とかしなければと思う一方、もうこれで終わらせられるという安堵感も。
 その時、
「ボスさん!早く!
と呼ぶ一団が。大型トレナー。
「これなら連中も探知できませんよ!」
「ボスさん達は、私達の希望ですから。」
 信じて乗りこむ、ボスボロット。その後、市民達の証言により、後を追った警察隊はボスボロットを見つけることができなかった、全て証言はボス達を助けるための虚言だった。

 隠れ家まで逃げおおせたボス達3人。
「ご、ごめん、ボス。俺達が間違っていたよ。」
 とヌケ、ムチャ。
「ボスの言った通り、俺達のやってることは無駄じゃなかったよ。」
「お、俺達、みんなの希望だったんだ。」
「お、おう、分かればいいさ。一緒に頑張ろうぜ。それにな、俺は甲児やさやかさんが死んだなんて思っていないんだからな。」
「3人とも、早くこっちに来て。食事が冷めちゃうわよ。」
とミサト。

 その頃、地球王宮では、デュークが警察隊の報告を聞いていた。
「分かった。ご苦労だった。」
と警察長官を下がらせると、
「どうして分かってくれないんだろうか?」
と苦悩を浮かべて呟きが。
「陛下のお心は、地球の大部分の人が分かっていますわ。一部の…どうして…変わってしまって…。」
と彼を優しく抱きしめる地球妃ヒカル。その後ろで赤ん坊の泣き声が。

 背景。
 ベガ大王の突然の死とともに、ベガ星連合軍を引き継いだルビーダ王女は、各星と和解、ベガ星連合女王として即位し、デューク・フリードと結婚。同時にデュークは星間帝国皇帝として即位し、各有力勢力を妃とすることとなった。そして、ヒカルとも結婚。
 さて地球の立場はというと、もともとベガ星連合軍の保護領。というのは、ベガ大王の幼少時代から彼を助け続けた男は、地球から拉致されて、奴隷となっていた男。だから、本格的侵攻はせず、少数の部隊を防衛のため駐屯させるに留めていた。(地球への攻撃は、功を焦った下級将校のガンダルの暴走。デュークがいると分かっても、大軍での侵攻をしなかったのも、その理由。)彼は、ルビーダ軍総司令官。ルビーダ親衛隊長はやはり地球人(地球から宇宙の人身売買組織により拉致、奴隷にされていたのを、ベガ大王が解放)、護衛隊長兼秘書室長であるルビーターの従妹とは婚約者(ベガ大王の配慮で、彼も信頼が厚かった)。
 地球がヒカル妃の誕生でデュークの領土に。デュークは、自分達の常識に従い、地球を領有、兜たちを貴族として、地球各地に領地を与えようとしたが、当然、このような横暴は兜たちにより拒否。皇帝として、地球侵攻せざるを得なくなったデュークは、グレンダイザーに搭乗して、陣頭指揮、自ら戦場に。圧倒的多数に無勢ながらも、奮戦、多大な被害を与えたものの、兜以下戦死してデューク、フリード帝国軍の勝利で終わり、地球はデュークのものになった。グレース・マリア・フリードは、彼の本当の妹ではないと判明、本来のフリード星住民の手により脱出、守られ行方不明。
 デュークの下、地球の復興は進んだが、反抗、独立の抵抗運動は後を絶てたない。デューク・フリードは、真摯に地球、地球人のことを思っているが、本当のところが分かっていない。
 生き残ったボス達は、ボス・ボロットを再生させ、細やかながらも抵抗活動を続ける。それに、影ながらも、積極的に支援する日本国民。鎮圧、逮捕を命じつつも、積極的には命じないデューク。(なお、よくある独立より、平和だ、豊かさ、安全を求める市民感は、採用しない。)

続き。
「ボス。なにしんみりしているのよ。美味しく食べないと、明日の力に・・・あれ?・・・まさか、本当に・・・?」
 突然涙ぐむミサトに驚いて、彼女の視線の先を追って振り向くと、
「甲児!さやかさん!み・・・みんな、生きていたのか?」
「もちろんさ。」
 感動の対面シーン。
「これからどうするんだよ?」
「地球を取り戻す、当たり前じゃないか。」
と甲児の言葉。感激して泣き出す、ボス以下3人。

結末。
 超強権派の妃の暗躍、彼女の死とかいろいろあった戦いで、他の領土を得たデュークは、地球を手放して、ヒカルの息子の地球王子には別の星を与える。
「いつか、地球の人が分かってくれる…。」
との夫妻を冷たく見つめる兜達。

 
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