第17話 タイガーマスクに虎の穴の支配者から思いを託された?

文字数 1,756文字

 アニメ版のタイガーマスクでは、最終回、タイガーマスクは、ミラクルスリー転じてタイガー・ザ・グレイトと試合を行い、必殺技を破られながらも、勝利し、そして惨殺しました。相手も、タイガーマスクを殺すつもりでしたから、自業自得といえますが。
 ところで、このタイガー・ザ・グレイトは、終盤に登場した、真の虎の穴の支配者です。でも、彼は若いですよね。その外見、実力から考えても、どう年齢を高く見積もっても30代半ばくらいでしょう。すると、伊達直人が虎の穴に連れていかれた時には、やはり最大限20代前半くらいで、既に巨大組織になっている虎の穴の創設者ではありえませんね。2代目、あるいは3代目くらいかもしれません。虎の穴は、後半、今までの死んでもいいというしごき中心のものから、合理的トレーニング、事故等防止を考慮し、衣食住の内容も格段に改善したホワイト職場・・・ではなくホワイトな養成所に変身しています。もしかしたら、この時、運営からは離れていたものの絶大な権限を持っていた先代が死去して、先代から権限を託されていた支配者、3人、キング・タイガー等3人の「支配者(と思われていた)」が、タイガーマスク、ミスター・フドウ等との試合で敗れが死去して、彼が実権を握ったからだ、と想像しては無理があるでしょうか。
 彼は、元々、暗い虎の穴を近代化して、ホワイトにしたかった、した、改革派だった。虎の穴という組織、先代からの遺産を背負っていなければ、伊達直人=タイガーマスクと分かり合えたのかもしれません。そうすれば、虎の穴が孤児たちの本当の意味での希望の場所になったかも・・・。
 ところで、あれだけの組織、トップがいなくなったら大変なことになってしまうのではないでしょうか。あそこでしか生きていられない少年たちも、まだ多数いたはずですから。

 それで、その少し前、伊達直人を暗殺しようとして、逆に死んだミスターXの傍らには妖しい若い女性がいましたが、彼女は彼とは一緒には死んでいません。何度見ても、ミスターXとともに死ぬ面々の中にいません。そして、彼女をチラっ見た伊達直人は、
「あの女は。」
と呟いています。
 それで、アニメ・タイガーマスクの最終回に次のような場面を追加したくなりました。

 一人、秘かに姿を消そうと、国際便に乗り、予約してあった自分の席に座ろうとした伊達直人は、一瞬固まった。
「何故、お前がここに?」
「まあ、久しぶりなのだから、そんな態度はとらないでよ。とにかく、自分の席に座ってたらどうかしら?」
 周囲を気にして、金髪の若い美人の言葉に、おとなしく伊達直人は自分の席に座った。ビジネスクラスのため、2人の席はかなりゆったりとしている。
「何の用だ?」
「もうXも、ボスもいない・・・私の心のまま行動できるの。」
と彼の手に自分の手を重ねる。
「Xとともに俺を殺そうとしたのだろう?それなのに、そんなことを言えるか?」
「他人に殺されるなら、私自身で殺したい、死んだあなたを手に入れたいと思っのよ。」
 伊達直人は、彼女の言葉に反論しなかった。
「ポスがね、もし万に一つ、いえ、億に一つ、自分が負けて死んだら、とこれを託してくれたの。」
と言って、彼に小箱を手渡した。これを開けろと促されて、それを開けると奇妙な彫刻の指輪が。
「?」
「虎の穴の支配者の印よ。」
 驚く伊達直人に、
「虎の穴には、引き取られた孤児たちがまだいっぱい残っているわ、自分一人だけでは生きていけない。虎の穴を消滅させるにしても、その子達を何とか・・・。その後、虎の穴をどうするかはあなたの自由だけど、ちゃんとけじめをつけてあげない?それは、ボスを殺したあなたの義務よ。」
「しかし、俺を受けいれらるないだろう、虎の穴は?」
「どういたしまして、最強の者には従うわよ。しかも、その印、指輪ももっているのだから。あなたは最強のボスを惨殺した、次のボスにふさわしい男なんだから。」
「そうだな。」
とため息をついた伊達直人に女は、
「私があなたについていってあげるわ。地獄の底までも。」
と女は彼にしなだれがかった。彼は、それを拒否しなかった。
「今度は、今度こそ、2人でともに歩もうか。」
 恋する少女のような顔になった女は、大きく頷いた。
 二人を乗せた国際便の旅客機は、滑走を始めた。
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