＃14 あなたがウォーズリーさん？ ［1］
文字数 1,801文字
レイラ・ドリス・マクレーン様
春風の心地よい季節になりましたが、お変わりなくお過ごしでしょうか。
移り行く時の中、あなたは覚えておいででしょうか。あの日、あなたとお約束していたものをお渡しします。
そして、あなたに伝えなくてはならない大切な話があるのです。
つきましては週末の土曜日、あなたにお会いしたいのですが、お時間をいただけますでしょうか。
厚かましいお願いですが、ご
R.C.ウォーズリー
【東部 旧 ミュルヴィル邸 、マクレーン家所有】
どうしよう、シェリー。とうとう今日だわ。
私は早く会いたいわ！ あなたのおばあさま……、レイラ伯祖母 さまの昔の恋人であり、伯祖父 さまの恋のライバルでもあるウォーズリーさんに！ もうワクワクしちゃう♡
※
※
あなたがうらやましいわ。今からでも、レベッカ叔祖母 さまにお願いをして来てもらおうかしら……。
※
ちょっと、私のおばあちゃんを呼んでどうするつもり？ まさか、“おばあさま”のふりをさせるつもりじゃないでしょうね？
そのまさかよ。だって、「この５年間、あなたのことを騙 してました」なんて言えないでしょう。たとえそれが、おばあさまの望みであったとしても、ウォーズリーさんを騙していたことに変わりはないんだもの。
きっと正直に話せば、ウォーズリーさんだってわかってくれるわよ。私だってこの５年間、あなたのことを見てきたのよ。私も一緒にウォーズリーさんに謝るから、伯祖母 さまのことを話しましょ。
ありがとう、シェリー。あなたがいてくれて、ホント心強いわ。……そうね、正直に話しましょう。ショックを受けられるかもしれないけど、もう嘘はつけられないわ。
そうそう！
……それより、ここに書いてある、おばあさまと“約束していたもの”ってなにかしら？ “大切な話”って……？
もう、そんな難しい顔しないで。ウォーズリーさんが来ればわかることなんだから！
Beep...！（呼び鈴の音）
……あっ、ウワサをすれば！
ど、どうしよう、シェリー……。
さぁさぁ、行った行った。
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Beep...！
あ、はいっ！ 今、出ます。
ガチャッ。
ごめんください。こちらは、レイラ・ドリス・マクレーンさんの…………。
は、はい！ そのことでお話が…………っ！
……なぜ、君が……。
え？
……ラ、ライナスさんっ!?
まさか……。
ライナスさんこそ、どうして……？
まさか、君の亡くなったおばあさんっていうのは、レイラ・ドリス・マクレーンなのか!?
え？ ええ……。
ぷっ！
えっ？ あの……。
ククククッ、ははははっ！
あの……、ライナスさん？
あ……、まだわからない？
…………？
どうやら、君と俺は“似た者同士”のようだ。
え？
エスター、君は相当の“嘘つきさん”だね。長いこと、俺や伯父 を騙 してきたんだから。
……伯父って、あなたの伯父さまって、まさか……！
そう、ルーファス・クライヴ・ウォーズリーは俺の伯父だよ。そして、俺がウォーズリー氏の正体だ。
……え、えぇぇぇっ!?
エスター？ ウォーズリーさんは…………。
こんにちは、甥 のライナス・グレッグ・スタンフォードです。
あら、やだ、いい男♡ はじめまして、シェリー・ヴィオラ・ホワイトリーです。エスターとは再従姉妹 で、いっしょにここで暮らしてるの。ということで、私、しばらく彼氏 のところに行ってるわ。
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えっ、シェリー？
じゃ、ライナスさん、ごゆっくり～♡
ちょっ……、シェリー!? いつも勝手なんだから。
……ははは。参ったなぁ。
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