#02 古城にて[2]
文字数 1,589文字
私は今、おばあさまの生まれ故郷である北部に来ています。
おばあさまが見ていた景色と、私が見ている景色はだいぶ違うけど、目を閉じれば、にぎやかだった北部の町が、陽気に笑う人々の顔が不思議と感じられるの。
ねぇ、おばあさま。
私が今、歩いているこの道を、おばあさまも歩いたのかしら?
知ってるかい? ほんの小さい男の子だ。まだ5歳にもならない子が、たった一粒のダイヤモンドを拾ってきたことから、南部とダイヤモンドを巡って5年にも及ぶ戦争が始まったんだ。
あの戦争で、みんなの人生が変わった。そんなことのために伯父は、家も家族も財産も、大切な人まで戦争に奪われ、相当苦労してきた。だから俺は…………!