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文字数 368文字



跳ねた前髪が気になるのは
長期休みに浮かれてる
いわゆる普通とかいう人たちの中で
何人か混ざっている
普通じゃない仕事へ行くから
恋人もいなくて友達とも会わないなら
カレンダー通りに休みなら
そのくらいどうでもイイ事なのに
学生服の誰かもスーツの誰かも
やっぱり僕と同じで
普通を見ぬふりしながら
今日の境遇を疎ましく思ってる顔してる
でも普通の中にいる人たちにとって
長い行列のトイレの前でうんざりしてたり
泣き止まない子供のご機嫌とったり
何にもしてくれないパートナーに
いつも以上の苛々募らせたりして
実は割と踏んだり蹴ったりで
僕らのことを羨んでる時もある
そうなると普通っていう言葉だけが
寂しげに一人歩きしていて
暇そうにしている偉い人の頭の中に
ひっそりと棲家を見つけては
音もなく増殖していくんだ
今日もお互いに壁の向こう側を
ただ羨みながら
変わらない前髪にイライラする
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