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文字数 297文字
何者でもない僕や私
そんな輩が街を埋め尽くす
それぞれに名前があって
それぞれにそれなりの場所があって
それぞれに感情もある
喜怒哀楽を素直に
出せる相手がいるのは
僕には羨ましい
楽しみと怒りは割と
人は出せていると思う
僕もそうだしあの人もそうだし
でも喜びとか悲しみは難しい
嬉しいから喜んでるわけでもなく
涙したから悲しいわけでもない
ありがとうはたくさん言える
俳優じゃないけど涙は流せる
人はそんなに簡単じゃない
この街にはそんな物が溢れている
今日もどこかにある楽しみを
今日も誰かに向けられた怒りを
できれば得たくない悲しみを
いつかは味わいたい喜びを
ごちゃ混ぜのカオスを掻き分けながら
僕も誰かも少しずつ
人の温かさを知る