とりあえずANAGRAM

文字数 773文字

私には前世の記憶がある。
日本という国で涼月と名乗り、作家で生計を立てていたの。自分で吹聴したわけではないけれど、世間からは『才女』『天才』などと持て囃されていたわね。懐かしいわ。

そんな私だけど、今はこの世界[TUEZARIO]に転生して冒険者をやっている。
今回の仕事は盗賊団の討伐。総勢100名以上の巨大な組織だけど、私にかかれば一網打尽。
彼らが根城にしているのは古い遺跡で、偵察したところとても汚れていてホコリっぽかった。
そこで私が思いついたのは粉塵爆発による一掃。
そう、異世界転生ラノベには必ずっていうほど出てくるあの粉塵爆発よ。広範囲を一瞬で爆破したいときに使われる出がらしのアイデアね。ラノベ作家たちはもう少し頭を捻るべきだわ。まあ私と違って地頭が悪いから粉塵爆発しか思いつかないのだろうから仕方ないけど。特に前世で仲の良かった悠木、あいつの頭は酷かった…

それはともかく、粉塵爆発とは…

~非常に微細な粉塵は体積に対する表面積の占める割合が大きいので、空気中で周りに十分な酸素が存在すれば、燃焼反応に敏感な状態になり、火気があれば爆発的に燃焼する。埃・小麦粉・コーンスターチ・砂糖・アルミニウム等の金属粉など、一般に可燃物・爆発物と認識されていない物質でも爆発を引き起こし、爆発・炎上する重大事故を引き起こす~

と、何かに書かれてあったわ。
私は一度見たことは忘れないので間違いない。それなら埃っぽい遺跡でも同じことが出来るはず。

でも問題となるのはそれらを空気中に舞い上がらせること。一見、難しいように思えるその問題は私の魔道具生成スキルで解決したわ。

じゃ~ん、これが徹夜で作った魔道具、自動埃舞い上げ機よ。
[AUTO RIZE]と命名したわ。
あとはこれを設置して作動させ、火種を放り込むだけ。

待ってなさい盗賊団。貴方達の悪事もこれでお終いよ!
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