幻想の島②

文字数 866文字

 何気なく日課になっている無人島販売ページにアクセスすると、ページの下に何時もは無い『2』と言う数字があった。


 1ページ目、2ページ目を切り替えるアレ。


 ここ数年ずっと1ページしか無かったのに、どうしたのかと気になって『2』という数字を押した先に『それ』を見つけた。

 ■名称:幻想島

 ■価格:相談

 ■面積:900坪

 ■場所:岩手県上閉伊郡大槌町吉里々々第28地割▼

 ■概要:相談

 なんだこれ?

 見た瞬間の第一印象はまさしくそれだった。


 まず名前が『幻想島』って……


 無人島評論家の私が今まで知らなかった無人島だ。


 いや、そこじゃないか。


 ネーミングセンスに問題があるのか。


 価格も相談になっているのがおかしい。


 通常、商品として売り出しているのだから価格設定は掲載しているハズである。


 無人島の価格帯は立地や面積等の条件で大きく変わり、30坪5億円の島もあれば、300坪 3000万の島もある。


 誰かが買うからこそ掲載している『物件』なのであり、普通は『相談』になんかしない。


 提示価格からの要相談、と言うのはあるだろうけど。


 物件の概要も相談ってなんだ?概要が相談ってどうなんだろう?


 通常、○○年に○○で栄えていた、若しくは前線基地として○○だが、○○年に何某の理由で無人島になりましたみたいな情報があるハズなのに。

 相談したら何か変わるのだろうか?

 そして物件の場所が問題。

 岩手県上閉伊郡大槌町といえば、一時期話題になった『ひょっこりひょうたん島』だ。

 いや違う。


 ひょうたん島のモデルになった蓬莱島(ほうらいじま)だ。

 蓬莱島の近くに盛大に掲載するような売り無人島があっただろうか?

 最近ランドマスターと化している私の脳内バンクには一致する情報が無い。


 さらに場所の欄の▼をクリックすると、詳細な大槌湾から幻想島迄の周辺地図が別窓で現れた。


 そんな事は、まず無いハズなのに。


 しかもご丁寧に別窓の下にはこう書かれていたのだ。

 ~探しているものが、きっと見つかりますよ~

 …… ……!




 気が付けば周辺地図をコピーしていて――

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