転校生に余計な設定を足してみた
文字数 944文字
俺達は・私達は・体が入れ替わってしまった。
俗にいう転校生現象をリアルで体験してしまった。
でも俺達の場合、あの有名なリアクション、
みたいな感じではなかった。
◆◇◆
私には秘密がある。
些細な事だと笑うかも知れないが、昔からもてはやされてきた私にとっては絶対に知られたくない秘密だ。
これが知られたらと思うと彼氏を作るどころじゃなかった。
◆◇◆
でも実際は大人になったどころか、むけてもいない。
中学校の修学旅行や林間学校が嫌だった。
みんなと一緒に風呂に入るのが嫌だった。
でも風呂場で身体を洗ったり、シャワーのお湯がかかったり、そんな僅かな刺激で皮は元通りかぶってしまう。
俺には彼女がいない。
別段、顔も悪く無いと思うし、背が低い訳でも無い。
告白されたことも何度かあるが、その度、お断りさせてもらった。
その秘密を知られたらと思うと彼女どころじゃなかった。
昼休み、俺は購買に急いでいた。
1日限定10食のカツ卵エビフライサンドを買うために。
階段を2段抜かしに飛び降りていたら前に人が現れた。
急に現れたものだから止まれず、俺はその相手とぶつかり、二人して階段を転げ落ちた。
◆◇◆
こんな感じで俺達・私達は体が入れ替わったのだが、お互い身体に違和感があったのでまずは色々確認してみた。
それが俺達・私達が最初にとったリアクションだった。
お互いの秘密を知られた私達はその後めでたく――
(余計すぎてどーでも良い設定だった……)