道頓堀の薄毛のニャウシカ

文字数 1,180文字

また、村が一つ死んだ
 ンモォ~
行こう。ここもじき、ポテチにのまれる……
 ベコ(牛)を引き、麦わら帽をかぶって道頓堀を歩く男がそう呟いた。
ニュパ様っ!
 客引きのサンドウィッチマン姿をした少女が男を呼び止める。
おお、ニャウシカか。見違えたぞ

 ニュパはそう言って少女の頭を撫でようと手をのばしたのだが……


 パシッ


 はたかれてしまった。


ひいっ
あなたは何を怯えているの? まるで迷子のカールのように
いや、アンタがパシッって……
ニュパ様、東の方はどうでした?
う、うむ。


酷いものだ。


どの店舗からもカールが無くなりポテチにのまれておる

 そう言って再度少女の頭を撫でようと手を伸ばすニュパ。


 パシッ

ひいっ
私、自分が怖い。憎しみにかられて何をするかわからない。もうだれも殺したくないのに
 え、殺されるの?


 儂、撫でようとしただけで殺されるの?

ごめんね…許してなんて…言えないよね…
 え、なんで謝ってるの? 儂、既に脳内で殺されてるの?
カールは私の中にもあります。この森(大阪)が私の内なる森なら、あの砂漠(東京)も私のものだとしたら、海(愛知)も私の一部です

 欲しがり屋さんめ。


 いきなり話題を変えてきやがったな。


 ニュパはそう思ったが、敢えて話の腰を折らずにおいた。


 カールの毒に冒されても、なおカールと共に生きるというのか


 (※カールに毒はありません)

きれいなチェ・ジウとパク・ミニョンでは、カールも毒を出さないとわかったの。汚れているのはハリウッドなんです。この日本の芸能界ですら汚れているの

 カールは韓国の女優から出来ているのか。


 ニュパはそう思ったが、敢えて話の腰を折らずにおいた。


 話の腰を折らないのは、彼が長年の経験で培った処世術だ。


 そして、そろそろ良いかなと思って少女の頭に手を伸ばしかけた。


 シャキンッ

動けば王蟲(カール)の皮より削り出したこの剣がセラミック装甲をも貫くぞ!

 ニャウシカは台詞と連動して頭に手をやると、徐に「それ」を外した。


 ファサッ


 カ、カツラ…だとっ。


 しかも中身はかなり薄毛…だとっ…!

我が夫となる者はさらに悍(おぞ)ましきものを見るだろう
 それ以上何があるんだ、逆に見てみたいわ!


 と思ったが武器を突き付けられているので下手に喋れないニュパ。

ほらね、怖くない。ね? 怯えていただけなんだよね

 いや、こえーよ!


 もう何の話かわからねーよ!


 つかベコ(牛)も、連れてる意味ねーよ!

さあ、ニュパ様こっち!

 薄毛のニャウシカは嬉しそうにニュパの手を取り、怪しげなネオン看板の店(店名:禿ねえさま)に誘った。


 どうなるニュパ。


 どうなるカール。



【次回予告】


 城(道頓堀)の地下で秘密裏に製造されていた純粋なカール(うすあじ)。


 それを巡って明治とカルビーの仁義なき戦いが幕を開ける。


 その時、薄毛のニャウシカは……。




 ……次回なんて無いけどね~。

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