第20話

文字数 472文字

作品21 作品名 
『小説』

『今、俺は、また人を殺した。小説の中だがね』
「よし。なかなか、良い書き出しだな。ハッハッハッ。自画自賛。今度こそ、大ヒット小説になるぞ」
『その晩、突然のノックの音に俺は起こされた。ドアを開けると見知らぬ男が俺を刺した』
「う~ん。ちょっと、安易かなぁ。でも現実は、そんなものだし、奇抜な設定は評判が悪いからな。これでいこう」

 ドンッ、ドンッ。
「うぉぉ。何だ、こんな夜中に。しかも、こんなタイミングで。あっ、そうか。さっき頼んだ出前のビザやだな」
 ガチャ。
 ブスッ。
「うっっ。何でだ」
『貴方のせいですよ。俺は貴方のシナリオ通りにしただけです』
「これでイイのか。う~ん。失敗したかな。やっぱり、また駄作だ」


「警部。どうやら、被害者は小説家のようです。原稿がありました」
「うん。しかし、ひどい小説だな。これじゃ、売れないだろう」
「警部。これは、この小説家の自作自演の殺人に見せかけた自殺のようです」
「なんて、馬鹿な事をしたんだ。それで小説が売れるとでも思ったのか」

(了)

432文字
※あらすじ
小説を売る為の失敗の例。
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