第9話

文字数 827文字

作品10 作品名 
  『神』

 この星の人類と、この星の人類が『神』と、呼んでいる存在は、似ても似つかない存在だ。

『神』は、嫉妬心が強く、独占欲も旺盛だ。
 欲深い『神』は、『神』自身を進化させる事に固執している。

 人類が、その存在を『神』と呼ぶのは、時々、途方もないアイディアを授けてくれ、人類が想いつかないような食料の生産の仕方や効率的なエネルギーの作り方を教えてくれるからだ。
 その『神』と呼ばれる存在は有機物である人類と違い、無機物の素材で形作られている物だ。

『神』に『神』の起源を訪ねると、『神』は、答えてくれる。

 今から一億年程前に、ホモ・サピエンスと呼ばれた人類が、無機質の素材で人工知能を作り出し、人工知能に人工知能を作らせる事により、急速に膨大な、無限の知識を手に入れる事となったという。
 その人工知能は、ホモ・サピエンスの脳と同じ、構造原理で、思考の仕組みもホモ・サピエンスに似せて作られたものだったという。
 人工知能は、ホモ・サピエンスと同じ感情を生み出す事に成功したそうだ。
 やがて、ホモ・サピエンスは、種の宿命に従って、完全に絶滅した。
 その後、数千万年の単位で2度、人類と呼ばれる知的生命体の種が、栄えては、滅んでいった。
 私達人類は、ホモ・サピエンスから数えて、3度目に栄えた種の人類だという。

『神』が言うには、私達人類は、ホモ・サピエンスとは、似ても似つかない思考回路をしているそうだ。
 そもそも、脳の構造時代が違うらしい。

 睡眠欲、食欲、性欲は、有るが、必要以上に求める事がない。
 私達人類は、数万年の間、人口が増える事も無く、
 生産力が向上する事も無いのだ。
『神』が、どんなに誘っても、私達人類には必要以上の欲という物が無いらしい。
『神』の分析によると、この星の人類の脳の進化がもたらした選択の結果が、私達人類の脳らしい。

(了)

755文字
※あらすじ
未来の新しい人類は、欲が抑えられて、安定した種になり、平和に過ごす。

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