第11話
文字数 626文字
作品12 作品名
『強盗』
男は繁華街の裏通りを物色していた。
目星をつけている店はあった。
近頃ではクレジット決済や電子マネーの普及により、現金の強奪が難しくなった。
しかし、その店の客筋は富裕層で、客が身につけている宝石類を強奪するのが男の目的だった。
男は店の裏口で様子をうかがっていた。
「表玄関は警備が厳しいが裏は、どうって事無いな。まったく、近頃の金持ち連中は何を喰っていやがるんだろうね。何でも昔の食卓を再現したクラッシック料理が、この店の自慢らしいがよ」
男は愚痴にも似た小言を言いながら店の中をそっと覗いた。
「うぁぁ。何なんだ。あいつら」
男の目の前に飛び込んできたのは、全身白装束の男達が鋭い刃物を手に持ち、血の付いた肉の塊を切り刻む姿だった。
「とんでもない奴らだ。頭の変な連中に違いない。カルト教団か悪魔の集団だ。こんな所に居たら危なくってしょうがない」
男は、こわばった表情で走り去った。
店のキッチンではウサギやシカなどの肉料理を昔ながらの方法で調理しているところだった。
無論、違法の食堂だ。現在、政府公認の病気にならない栄養ドリンクが我々国民の主食で、極一部だけ、細胞培養した人工肉が、少量は食べる事を認められているだけだ。
生きた動物を殺して食べるなんて事は、人道的にも、我々の健康面からも考えられない暴挙だ。
正常な人間のする行為ではないのだから。
(了)
572文字
※あらすじ
料理店に強盗に入ってビックリ。
『強盗』
男は繁華街の裏通りを物色していた。
目星をつけている店はあった。
近頃ではクレジット決済や電子マネーの普及により、現金の強奪が難しくなった。
しかし、その店の客筋は富裕層で、客が身につけている宝石類を強奪するのが男の目的だった。
男は店の裏口で様子をうかがっていた。
「表玄関は警備が厳しいが裏は、どうって事無いな。まったく、近頃の金持ち連中は何を喰っていやがるんだろうね。何でも昔の食卓を再現したクラッシック料理が、この店の自慢らしいがよ」
男は愚痴にも似た小言を言いながら店の中をそっと覗いた。
「うぁぁ。何なんだ。あいつら」
男の目の前に飛び込んできたのは、全身白装束の男達が鋭い刃物を手に持ち、血の付いた肉の塊を切り刻む姿だった。
「とんでもない奴らだ。頭の変な連中に違いない。カルト教団か悪魔の集団だ。こんな所に居たら危なくってしょうがない」
男は、こわばった表情で走り去った。
店のキッチンではウサギやシカなどの肉料理を昔ながらの方法で調理しているところだった。
無論、違法の食堂だ。現在、政府公認の病気にならない栄養ドリンクが我々国民の主食で、極一部だけ、細胞培養した人工肉が、少量は食べる事を認められているだけだ。
生きた動物を殺して食べるなんて事は、人道的にも、我々の健康面からも考えられない暴挙だ。
正常な人間のする行為ではないのだから。
(了)
572文字
※あらすじ
料理店に強盗に入ってビックリ。