第五十話

文字数 5,318文字

 信之が目覚めたのは、その戦いの決着がついた一時間後。仮設住宅内で、信玄と信之両方仲良く丙良によって治療されていた。丙良の頬は戦闘可能ではないほどにこけていたが。
「――きっと……俺は負けたんだな」
 負けを自覚した信之であったが、その心中は満足していた。それと同時に、自分の強さがそれほどでもないことを認識した。井の中の蛙が、真の意味で大海を知った瞬間であった。
 約束通り、信之は『教会』側として戦うことを止めた。枕元に置いたチーティングドライバーは、本人の心の歪みに応じて歪な魔力を帯びるのだが、今のドライバーはもぬけの殻そのもの。本人がそれを扱わず『教会』入信当初から信玄の武器を用いて戦闘していたため、信之の歪みは多少なり補正されたのかもしれない。
 そこで、信之の中には迷いがあった。
 あれほどの殺しをしておいて、自分が許される道はない。これからの自分の身の振り方を考えていたのだ。どちらかが勝利した際、自決するか、自首をするか。せめてもの罪滅ぼしを試みるか、何もせず動かず終えるか。
 待田に敵わないことは、信之自身が十分自覚している。だからこそ思い悩んでいたのだ。
「あ、起きたんだ」
 仮設住宅内に入ってきたのは、礼安であった。いくら兄弟喧嘩の場を用意してくれたとはいえ、どうも気まずい信之は、そそくさと仮設住宅の外に出る。上着など、最低限のものだけを手に取り。
 それにより、そして礼安自身の第六感により感づいてしまった。ここから立ち去ってしまうのではないかと。
「――どこに、行くの?」
「……正直、よく分かんねえ」
 戻ったとしたら、待田の仕切る『教会』の軍勢にリンチされるのが関の山。気力体力が全快状態であろうと、数には敵わないことは分かっている。大将首としての価値がなくなってしまった自分が、帰る場所などない。とはいえ、この場に残ったとしても何ができるのだろう。
 そんな信之の迷いの色を感じ取ったのか、礼安は信之の手を取る。慈母神のような微笑みを湛えて。
「――正直、貴方が背負った罪を肯定する気は全くないよ。でも……このままこの外に出ても……帰る場所は無いんでしょう? なら――私たちと一緒に戦おうよ」
 エヴァがルール上戦闘不能状態にあり、現在まともに戦えるメンバーは一人欠けているようなもの。加賀美に関しては、戦力としては未知数のためカウントできるかは不明。
 そんな中で、向こうは最強格待田がいる。礼安も一度、何もできずに敗北した相手である。さらに、そこに英雄サイドの有力な裏切り者が多数。大勢をリタイアさせ戦力を大幅に削りはしたものの、全部削ぎ切ったとは思えない。
 礼安は、周りの仲間に対し、露骨に『何か』を隠されていることを感じ取っていたのだ。そこにどういった真実があるのか、一切分からないものの。
 その嘘の色に、言いしれない不安を抱えていたのだ。
「……でもよ、俺は元々『教会』サイドの親玉だ……今も茨城支部の支部長であることは変わりねえ。『教会』と敵対する英雄が、そんなんでいいのかよ」
「でも……貴方が何も出来ずに終わってしまうよりも……少しでも勝つ可能性を増やしたい。待田って人が苦手なら……一緒に立ち向かおうよ。どこかで聞いた……『敵の敵は味方』、ってやつだよ」
「……お前本当は馬鹿じゃあねえだろ?」
「私馬鹿じゃあないもん!」
 「馬鹿」発言に対し、不満げに頬を膨らませる礼安。礼安は馬鹿ではないが、頭が秀でているわけでもない。
 だが、その礼安の一言に呼応するように、仮設住宅から出て来たのは信玄と丙良。数時間前まで、羽田空港で殺し合うほどの大喧嘩をしたとは思えないほど、清々しい表情の信玄と……先ほどまで精力尽き果てて意識を失っていた丙良。未だ頬が酷くこけている。顔の影が未だ濃いままである。十六歳とは到底思えない。
「――だってよ、信之。ただ捕まるより、少しくらい善行詰んでワッパかけられる方が良いっしょ、気分の問題だけどねん」
「……正直、僕としては参加してほしいかな……猫の手も借りたいほど戦力不足なんだこっち……僕この様だし、エヴァちゃん参加できないし」
 予備の丸サングラスをかけた信玄は、信之に対し静かに手を差し出す。仮に院と透が嫌がろうと、この場においては多数決で敗北している。繕う言い訳は充分である。
「――良いのかよ、俺が……もう一度裏切るかもしれねえんだぞ」
「その時は、俺っちがもう一回グーパンで目ェ覚ましてやる。兄貴のグーパンは、信之のグーパンより強ェのは……分かってんだろ?」
 黙って牢に入るか、行ってきた悪行と比べたらちっぽけなものだが、少しでも善行を積んで牢に入るか。あるいは、黙って殺されるか。
 そう考えたら、選択肢は一つ。
 信之の手は、迷いながらも信玄の手を取る。実に弱弱しい握力であったが、信玄が強く握り返す。今まで、あり得なかった可能性がたったいま実現したのだ。
「――悪ィけど、手柄は渡さねえぞ。兄貴の上を行きてェからこそ、この力を願ったんだ」
「ほぉ、俺っちに喧嘩負けといてよく大口叩けるもんだ。英雄としての俺っち、舐めんなよ?」
 軋轢が生じていた兄弟が、立場こそ違えど一時的に手を取り合う。これほど願ったことがあるだろうか。
 礼安は感銘を受けながら、自分のデバイスを起動させある場所へ電話をかける。他でもない、信一郎であった。
『はい愛娘のためならどこへでも、不破信一郎≪パパ≫こと瀧本信一郎≪パパ≫の電話だよ!!』
 その場にいた礼安以外のメンバーが、その電話の向こう側の人物に対し、非常に白い目で見ていたが、礼安は違う。まるで飼い主が帰ってきたかのような、従順なポメラニアンのように大いに喜んでいた。
「パパ、一つお願いがあるんだけど……」
『何だい? とはいっても……粗方どっち側の事情も、把握済みなんだけどね~』
 信一郎はその次に発するであろう言葉を、酷く渋っていた。それもそのはず。ルールには違反していないものの、正直反則すれすれのことを礼安が強請≪ねだ≫ろうとしているのは、容易に見えていた。
 仮にも元々は『教会』側の大将首に設定された人物が、運命のいたずらによって英雄側の戦力になろうとしている。大将首の事実上の『譲渡』……もとい、ドライバーの交換行為は既に行われていたが、名義はそのまま。
 電話の向こう側でうんうんと唸っている信一郎に対し、礼安が一言。
「パパ――――お願い?」
『分かったよ!! パパ愛娘のオネダリなら何でも許しちゃう!!』
 その悩みの均衡を崩したのは、礼安の全力で甘える声たった一つ。礼安は無自覚なのだろうが、傍から見たら疑似的な『パパ』と、徹底的に貢がれる『娘』の関係性を保った『アレ』。無機質なデバイス越しであるはずなのに、そのデバイスから無限のハートマークがあふれ出てくるようであった。実際一切目には見えないが。
「――礼安っちって、因子何だっけ、『サキュバス』?」
「「いやそれ英雄じゃあ無いだろ」」
 ……とまあ、こんなにあっさりと信之の名が英雄側に移行することに。それと同時に、『教会』側の大将首が待田へと名実ともに移行する形となった。
「――これで戦力問題はある程度解決、っと。あとは……エヴァちゃんか」
 振り返った丙良の目線の先には、悲しそうな顔をしたエヴァ。そしてそれと同時に困ったような表情の加賀美、そして平静を保つ河本の三人がいた。
「あれ、透っちと院っちは?」
「ああ、あの二人は……二人きりで開戦前まで修行するらしいから、とりあえず二人きりにしておいたよ。ここからの時間帯はルールが適応されるから、迂闊に大田区内部には入ってこれないでしょ」
「――待田さんの認識阻害に関しては、条件があります。第一に、ある程度目立たない状態でなければならない。第二に、最大で三人までしか認識を捻じ曲げることができない。全軍勢をぶつけるとしても、ごまかせるのはその内三人。正直割に合いませんし……そのことを知っている私がここにいる以上、待田さんがもう一度その選択を取るとは思えません」
 だからあの二人は大丈夫でしょう、と静かに笑む河本。しかしそれ以上に、皆はエヴァの処遇を決めかねていた。戦力に関わらない存在となってしまったため、いかなる戦闘行為が出来ない。
「――こうなることは、最初から了承していました。礼安さんが気持ちよく戦える状況を作るには、誰かの犠牲が必要でした」
 そう呟くエヴァの拳は、弱弱しく震えていた。元から戦闘をメインとはしないエヴァであったが、礼安たちと共に戦う二つの案件は、武器を丹精込めて作り上げるのとはベクトルの違う楽しさがあった。戦力外となることが、ここまで辛いものだとは思っていなかったのだ。
 しかし、そんなエヴァを労うかのように、信之があるものを手渡す。それは、信之自身のチーティングドライバーであった。触れていいものか、という逡巡が生まれたが、信之はエヴァに手渡す。
「一度こっぴどく敗北した奴のドライバーを触れても、別に精神汚染等は起こらない。何なら、精神汚染を最初に引き起こすのは、そのドライバーと最初に契約した存在だけだ。安心して表に持っていけ」
 通常なら、死んだとしてもおかしくはなかった信之。それがなぜ今ここにいるか、それはありとあらゆる施しを受けたからこそ。信之にとっての、不器用な礼であった。
「上で研究すれば、多少なりともそっち側の発展につながるだろ? 受けた恩は返さなきゃ気が済まない質でよ」
「――そっか、ありがとう。信之君」
 少しでも、皆の役に立ちたい。そんな思いが第三者の力添えによって達せられたその時、エヴァの苦しみは、多少なり軽減された。
『じゃあ、ルール上戦闘不能者だし……エヴァちゃんはチーティングドライバー持って帰ってきな。うちの研究班と一緒に早速解析開始だよ』

「では時間も時間だ、これより……英雄・武器軍対『教会』軍……対戦一日目を執り行おう。私の『予測』だと……多分今日でケリがつくね」
 渋谷の中心にワープし降り立ったのは、今まで上で様々業務を行っていた信一郎。各方面に対し、自身のデバイスを用いて東京二十三区全域にホログラムを映し出すのだった。

『試合開始まで、残すところあと二分とちょっと。それまでに……多くのドラマがあったね』
 英雄側のフェイクニュースやその他要因による大量の裏切り、『教会』側の内部分裂、そして大将首の名義が別人物に挿げ替わり。とても一晩の間に起こった事とは思えない。
 それらの根底にあったのは、全て『嫉妬心』によるもの。信之自身に与えられた七つの大罪の異名は『エンヴィー』。そんな彼が、多くの人を直接的、間接的関係なしに汚染していった結果、場がどんどん混乱していったのだ。
『正直、我らからしたらルールのほぼが適応外とされている暗黙の時間……そこに多くの襲撃を起こした『教会』側の面子には、ある意味賞賛の拍手を送りたいね。何せ、私自らそう言ったルールの穴を突く、っての大好きでね。わざとそう解釈できるように仕向けた訳だが……予想通りの動きをしてくれたね』
 信一郎にとって、どれほどの裏切りも、どれほどの犠牲も、全ては計算の内。そこで生まれたドラマは、当人の予想の範疇を超えたものであったが。信一郎にとって、待田がどれほど残虐な行いをしようと、それらはすべて掌の上である。
『正直、多くの英雄や武器たちの裏切り。それが私としては堪えたよ。心構えだのなんだの全部フル無視した、我欲に忠実な裏切り。人間としてはある種正しいが、英雄やそれらに与する武器としての心構えはゼロ点だ』
 各拠点から渋谷中心街まで、相当の距離が開いているはず、ホログラム越しであったはずなのに、普段の温厚な彼とは思えないほどに冷徹な瞳。了承し裏切ったはずなのにも拘らず、今更ながら多くの者が後悔の念を抱き始めていた。
『――故に、試合開始時点で、一部生徒を除き『教会』側に与する生徒を、英雄学園から除名することを正式に発表するよ。文句は、言わせないよ?』
 それは『同士討ち』ルールに引っかからないよう、英雄側を護るための策であり、もう一つの目的を果たすためのものであった。それは、英雄側がやられたことをそっくりそのまま報復するための策であった。
(――さ、これであっちはてんやわんやだ。実際問題、敢えて裏切らせた生徒は数人いるからねぇ。あちら側の集中力を削ぐための、人狼ゲームの始まりだね)
 不敵に笑む信一郎は、デバイス内にあらかじめ入れておいたアプリケーションを起動させる。各所に忍ばせておいた監視カメラを、ワンプッシュで全て即座に起動させる。本当に追い詰められているのは、どちらなのだろうか。それを徹底的に分からせるための、日本全国生放送であった。
『では、堅苦しい話はこれまでにしておいて。日本全土緊急生放送、『教会』茨城支部対英雄・武器連合軍の合戦開始だ! ルール違反者は生放送内で顔も名も悪い意味で知れる、社会的な処刑だよ!!』
 現在時刻、午前九時。今まで虐げられてきた、英雄側のリベンジマッチが、始まった瞬間だった。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

瀧本 礼安≪タキモト ライア≫

「誰かの『助けて』って声が聞こえたなら、そこに現れるのが私! 私たちが来たからにはもう大丈夫、安心していいよ!」

性別……女子

年齢……十五歳

年次……英雄学園入学前→『英雄≪ヒーロー≫』科・一年一組

血液型……AB型

髪型……水色セミロング

因子……『アーサー王伝説』よりアーサー・ペンドラゴン

欲の根源……『赤の他人も友達も、総じて守るため


 自他ともに認める、究極のお人よし。

 過去自分が受けた災難を他人に経験してほしくないために、困っている人に迷わず手を差し伸べることのできる、揺ぎ無い正義感の持ち主。学園から支給されたデバイスドライバーをほぼ初見で扱った、イレギュラー的存在でもある。

 それには多少なり理由があり、現トレジャーハンターでもある父親が元々英雄で、幼いころから触れていた点にある。

 彼女の中にある因子は、『アーサー王』。

 アーサー王自体が持つ高いポテンシャルと、礼安の持つ天性のバトルセンスによって、強さが上位のものとなる。使用武器は様々であり、その場に応じた多種多様な武器を持つ。

 彼女が戦う理由は、『赤の他人も友達も、総じて守るため』。

 お肉とゲームが大好き。それでいて栄養が大体一部に行くのと、動きやすい引き締まった体形をしているため、少なからず疎ましく思う人間はいる。本人曰く、『太らない体質』だそう。


※設定アイコンはイメージです

エヴァ・クリストフ

強い意志がある限り、『武器の匠』として仕事をするだけさ

性別……女子

年齢……十六歳

年次……『武器≪ウエポン≫』科・二年一組

血液型……AB型

髪型……金髪ロング

因子……刀鍛冶師・『村正

欲の根源……『???』


 この世界における、あらゆる武器のメンテナンスや製造が可能な『武器の匠』≪ウエポンズ・マスタリー≫。

 両親から継承し、若くしてプロ英雄たちの武器の面倒を見ている。そのため多くのプロ英雄たちは彼女に頭が上がらない。

 しかし同時にかなりの変態。この世に遍く存在する武器たちや、英雄の中でも女子や女性をこよなく愛しており(無論一般人含む)、所謂レズビアン。

 そのため、男がいるか、あるいは新たな扉を開きたくない女性は、こぞって彼女から距離をとる。本人はそろそろ変態気質を治そうとしているものの、一向に治る気配はない。何なら礼安たちの影響でもっと酷くなった。

 過去のトラウマから、男性と銃が大の苦手。彼女から語ってくれるときは、もう少し先になりそう。

 普段は非戦闘員であるが、親から受け継いだ『鍛冶屋の小槌』を使役し、辺りの無機物や有機物を武器として扱うことが可能。そのため、並の英雄よりも戦える。

 実はかなり頭脳指数が高く、作戦立案もできるほど。眉目秀麗さも合わせ、初見時の印象は普通ならとてもいい。普通なら。作中の女性キャラの中でも、屈指の『ナイスバディ』であり、主要キャラの中で一番『デカい』。僅差で次点は礼安。

 武器科でありながら、自分の開発した『デュアルムラマサ・Mark3』を用いて変身することが可能。厳密には英雄ではないため、変身時の掛け声が唯一異なる。

 アメリカンな大盛り料理、バーベキューが大好き。元々アメリカ出身のため、そういった豪快な食文化に慣れた結果。しかしそれよりも大好きなものは女子、女性を食べること。食人ではない。


※設定アイコンはイメージです

真来 院≪シンラ カコイ≫

「王の御前よ、道を開けなさい!!

性別……女子

年齢……十五歳

年次……英雄学園入学前→『英雄≪ヒーロー≫』科・一年一組

血液型……O型

髪型……クリムゾンレッドのショート

因子……『ギルガメッシュ叙事詩』よりギルガメッシュ王

欲の根源……『己の誇り(礼安や、礼安の好きな場所)を護るため


 礼安とは腐れ縁のようなもの――と言いながら、早十五年。長い間礼安の側に居続ける、礼安にとって大事な存在。

 日本を代表する真来財閥の長女で、次期当主として家を背負う人間でもある。お嬢様言葉が崩れたようなラフな口調をよくしている。まあだいたい礼安のせい。

 礼安をとりわけ大事に思っており、少々過保護な面が垣間見える。しかし律するときはきっちり決めるため、周りからの人望は礼安同様厚い。本人はお人よしではない、と語っているものの、礼安ほどではないにしてもお人よしであり、おせっかい焼きである。見ず知らずの人間に対してもかなりのおせっかい焼きであるが、礼安が関わるとお母さんのようになる。

 彼女の中にある因子は、『ギルガメッシュ』。

 まだ力を制御しきれはしないものの、入学前の生徒としては異例。弓を主に使い、トリッキーな戦いを得意とする。

 彼女が戦う理由は、『己の誇り(礼安や、礼安の好きな場所)を護るため』

 実は、礼安と院は幼馴染ではなく、家族関係にある。礼安と同様、亡くなった母親に対して尊敬の念を抱いている。今は礼安の精神の安寧を保つため、父である信一郎と共に礼安のメンタルケアを行っている。

 大分スレンダー体型であるため、礼安の『一部分』を時たま羨ましく思うときがある。礼安はそんなありのままの院を「可愛い!」と語るが、院はそんな礼安を見て「私の礼安は私なんかよりももっと可愛い!!」と親バカ(?)っぷりをいかんなく発揮する。

 甘いものが好きで、礼安とそこ辺りの好みが合わないことが悲しいらしい。


※設定アイコンはイメージです

天音 透≪アマネ トオル≫

「俺が、最強だ!!

性別……女子

年齢……十五歳

年次……英雄学園入試主席入学→『英雄≪ヒーロー≫』科・一年一組

血液型……AB型

髪型……黒ベースに黄色のメッシュの入ったショート

因子……『西遊記』より孫悟空

欲の根源……『特になし』→『自分で自分を守れない、弱い奴を従えて誰も傷つかない世を創る


 英雄学園の一般入試を勉学方面、実技方面両方でほぼ満点をたたき出し、主席として新入生生徒代表である生徒。入学前時点での強さは、礼安と同格であった。

 しかし、礼安と院両人が神奈川支部との一件を経て、圧倒的な強さを得た上に、学園長の実の娘であることが発覚してから、『恵まれた存在』として両人を敵視していた。

 埼玉県内のスラム街出身であり、自力で生きる術を身に着けているため、家事能力や自分より下の年齢の子供の世話はお手の物。実際、血縁関係こそないものの、『ホロコースト事件』により両親を失った子供たち数名を疑似的な家族として匿って世話していた。

 埼玉支部(特にそこの支部長である、コードネーム・グラトニー)とは並々ならぬ因縁があり、元々はある程度恵まれた家庭であった天音家を、グラトニー自身の逆恨みによって崩壊させられたため、最初は殺意混じりに敵対していた。

 『勝気少女』編で礼安やエヴァから『英雄』としての心構えを説かれ、グラトニーへの復讐をすることは変わらなかったが、生きて罪を償わせる選択を取った。その際、敵対視していた礼安と完全に和解し、協力し合って埼玉の平和を勝ち取った。

 主要キャラ内で最もスレンダーであり、圧倒的モデル体型。貧困生活を送っていたため、贅肉などは無く、一番『小さい』。一人称も『俺』。弟妹達を食って行かせるため、厳しい世を若い中で渡り歩いてきたため、肝はかなり据わっている。

 側近である『剣崎奈央≪ケンザキ ナオ≫』と『橘 立花≪タチバナ リッカ≫』とは、同じスラムで育った幼馴染。二人が武器科に移った後も、弟妹たちと共に食事したり、遊んだりしているらしい。

 埼玉での一件が片付いた後から、礼安に対しては尊敬の念とほんのちょっぴり好意的な目を向けている。

 院と同様甘いものが好き。埼玉支部との一件後、二人でスイーツ巡りをしたり、可愛いものを集めたりしているらしい。


※設定アイコンはイメージです

丙良 慎介≪ヘイラ シンスケ≫

「英雄の時間≪ヒーロータイム≫と、洒落こもうか」

性別……男子

年齢……十六歳

年次……英雄学園入試主席入学→『英雄≪ヒーロー≫』科・二年一組

血液型……AB型

髪型……ダークブラウンのベリーショート

因子……『ギリシャ神話』よりヘラクレス

欲の根源……『???


 英雄学園東京本校にて、座学実技共に好成績を収めた、そんな一握りの存在が持てる『仮免許』を持つ、英雄学園の中でもかなりのエリート。

 一般人からの認知度も、英雄の中での知名度も高く、さらに立ち居振る舞いに嫌な点が見つからない、好青年の極み。そのため、両性から人気がある。決め台詞内の『英雄の時間≪ヒーロータイム≫』は、今は亡き丙良の先輩の決め台詞であった。

 かつての一年生時代に、入学前の生徒が見学していた丙良の先輩との実習授業内において、神奈川支部の襲撃が発生。その時点の未熟な力ではヘリオをはじめとした面々には敵わず、丙良は深い傷を負った。さらに丙良が庇われた結果、丙良の先輩とその入学前の志望生徒二人が目の前で皆死亡。

 首席で入学したから、と言って世の中は甘くない、さらに自分が敵わない存在などごまんといることに辟易した丙良は、ふさぎ込んでしまった。誰かと深く関わることで、その誰かが亡くなった際の精神ダメージを、もろに食らうことを恐れた結果、後輩や先輩、同級生において、深く関わる存在は実に少なくなってしまった。現時点において、彼と同級生で深い関係にあるのは、エヴァと信玄(『大うつけ者』編時点)のみ。

 しかし、神奈川支部との一件の中で、狂気的なほどに勇敢な礼安、そしてその礼安のお目付け役である院との出会いで、保守的な考えが一部改まっていく。『大うつけ者』編時点において、後輩内において深い関係を築き上げたのは礼安、院、透の三人となった。

 彼の中にある因子は、『ヘラクレス』。主要キャラ内で、最も防御力が高いため、より堅実かつトリッキーな戦いを好む。礼安とは能力的に相性が悪いと思われがちだが、『砂鉄』を操る能力を用いれば電気と土は共存できる。

 好物はピザ。特に安定と値段重視のマルゲリータ。

 礼安たちの『微笑ましいやり取り』に、一切介入しないようにしている。


※設定アイコンはイメージです

瀧本 信一郎≪タキモト シンイチロウ≫

「只今より、怪人○○の処刑を執行する」

性別……男子

年齢……五十歳

年次(?)……『原初の英雄』→私財を投じ『英雄学園東京本校』設立、同タイミングで学園長就任

血液型……AB型

髪型……紫色のロングを後ろで雑に束ねた雑ポニーテール

因子……『???

欲の根源……『???


 世に『英雄≪ヒーロー≫』の概念を生みだした張本人であり、世界を股にかけ自分の気に入った変なもの……もとい聖遺物を収集するトレジャーハンターでもあり、英雄学園東京本校学園長をはじめとして、世界中に様々な分校を作り名誉学園長となった、日本を代表する『原初の英雄』。

 現役時代、その圧倒的強さから『処刑人≪スィーパー≫』とまで語られる男である。

 しかし、今はその尖った異名などどこへやら、子煩悩かつ常時柔らかな笑みを絶やさない、柔和な人物に。五十歳とは思えないほどにしわが存在せず、全てを知らない人が彼を見たら二十代と空見してしまうほど。

 学園生徒と分け隔てなく接しているものの、実の娘である礼安と院に関しては目に見えてデレデレ。尋常でないほどの学内通貨をお小遣いとして支給している。週一のペースで。

 今も、来たるべく災厄の可能性を鑑みて、修行は怠らないようにしているものの、現役時代よりは戦力ダウン。本人はそれを酷く恥じている様子である。

 その理由が、何より礼安と院の母であり、信一郎の妻を亡くしたことに起因している。もう大切な存在を亡くしてしまわないように、いざというタイミングで自分も動けるようにしているのだ。

 他の英雄と異なり、デバイスドライバーの祖たる『デバイスドライバー・シン』を用いて変身する。デバイスドライバーと比べるといわゆるプロトタイプに位置するモデルだが、実際の出力量はデバイスドライバーの百倍ほど。力の暴走などのリスクを完全に取り払ったがゆえに、ニュータイプでありながらパワーダウンしている。『シン』は現状、信一郎以外に扱える者は完全に存在しない。

 今まで、数多くの事件を単独で解決してきたのだが、日本中を震撼させた『とある事件』は何者かと共に戦い勝利したらしいが、その人物は不明。

 ちなみに、それほどの功績を残しておきながら、生徒たちにはまあまあなレベルでイジられている。特に、一昔前の学園ドラマの熱血教師を夢見るがゆえに、時代錯誤とも思えるシーンを実現させたいと、本人は試行錯誤している。しかし生徒たちは「そんなの今のご時世ありえねー」と白眼視。透もその一人である。しかしそのイジリを本人も仕方ないと容認しているため、特に問題はない。


※設定アイコンはイメージです

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み