砂糖と卵と器

文字数 372文字

 子供のぼくらは何でできてた?

 幼年時代は砂糖でできてた
 まだ何者でもなく 心配もない
 家族がいて ともだちがいて 太陽はいつでも明るかった
 毎日のそれが永遠と信じて疑わなかった
 疑うことさえ知らなかった

 少年時代は卵でできてた
 何者かになりたくて でもいつも何かに阻まれていた
 それが少し窮屈だったけど 殻は破れるものだと思ってた
 両手の翼を広げれば 空の雲さえ吹き飛ばせると思ってた
 未来は明るいはずだった

 青年時代は器でできてた
 何者かになれなくて でもそれは認めたくなかった
 せいいっぱいの見栄張って 飾りの豪華さでごまかした
 誰も自分のことを理解できないとうそぶきながら
 そのくせ本当の自分を知ってほしくて
 雨に打たれてたたずんでいた

 ぼくらはいつから 夢と現実を切り離した?

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初稿:2021年1月8日
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