うみ

文字数 460文字

 大きくのびをした
 彼は白いうねりをあげて、優しげに呼びかけてくる
 おいで
 あそぼう
 子供もまた、それに答える
 まってくれ
 今行く
 早く、早く
 せかしてくる
 小さな素足が
 黄金色の大地を駆けめぐる
 風が
 小さな背中をおす
 先に行ってるよ
 追い越していく
 小麦色の肌が
 疑うことなく受けいれる
 そこにあるものすべてを

 水しぶきが上がった
 時が止まり、静寂が訪れる
 少年は流離い人だった
 瞳をとじると
 人魚の唄声がきこえる
 鳥たちの
 自由が降りかかる
 潮騒は
 揺籠だった
 おやすみ
 少年は大地の子供になった



───────────
1999年12月31日

【活動報告】
https://novel.daysneo.com/author/kei_satsukihara/active_reports/893aa017df37a4d9a0d581e2787062ec.html
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