第1章 第7話
文字数 907文字
会社の仕事も病室でこなすようになる。今俺にとっての一番の仕事は、この秋に修善寺の名旅館で予定されている間宮由子先生の句会だ。
梅雨明けに光子と由子先生と俺との3人で泊まった修善寺『あおば』にて、マスコミも集め割と大々的に告知しての句会開催を目論んでいる。
山本くんによると、当社でこれだけ大々的なイベントは創立以来初めてであり、全社員、特に企画部の連中がかなり浮き足立っているそうだ。社長なぞ毎週俳句教室に通い出したという。
確かにこれまでのネット販売がメインの我が旅行代理店の販売施策としては、画期的かつ斬新的だ。このイベントが上手くいけば、我が社への注目度はこれまでと比にならないほどのものとなるであろう。
「専務が来て、ウチの会社も変わり始めましたね。あの間宮由子さんみたいな有名人とコラボした企画をウチが立てるなんて。信じられません…」
山本くんが若いくせにしみじみと呟くので、
「おいおい。まだ企画段階なんだからな。大変なのはこれからだよ。俺はこの通り、半年は戦力にならないのだから、お前ら若い連中がしっかりと仕切ってくれなくては、な」
「ええ。この企画が上手く行ったら、ウチの会社大きく変わりますよ、ね?」
山本くんが目をキラキラさせながら俺に問いかける
「そうだな。嘗てないほどの注目を浴びることになる。先の話だけど、そこからどう我々が立ち振る舞うか、だよ。大きく進むか、フツーに停滞するか」
「うわ… そんな先の事、まだ考えられませんよ。目の前のことに一杯一杯ですから」
「それでいい。目の前のことに集中しろ。全力でぶつかれ。後の事は俺がしっかり考えておくから。」
「専務… 金光さん… オレ、今、初めて金光さんのこと尊敬しましたっ」
初めて、かよ。俺はプッと吹き出しながら、
「山本くん。光子がー、あの、伝説のクイーンがお前に話あるってさー」
「いやーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
以前『しまだ』に連れて行き、本人の目の前で伝説の不良の過去をネット検索して以来、彼は光子を心底恐れている。きっと昔不良にカツアゲされたか、ボンタン狩りにあったとかのトラウマがあるのだろう。
梅雨明けに光子と由子先生と俺との3人で泊まった修善寺『あおば』にて、マスコミも集め割と大々的に告知しての句会開催を目論んでいる。
山本くんによると、当社でこれだけ大々的なイベントは創立以来初めてであり、全社員、特に企画部の連中がかなり浮き足立っているそうだ。社長なぞ毎週俳句教室に通い出したという。
確かにこれまでのネット販売がメインの我が旅行代理店の販売施策としては、画期的かつ斬新的だ。このイベントが上手くいけば、我が社への注目度はこれまでと比にならないほどのものとなるであろう。
「専務が来て、ウチの会社も変わり始めましたね。あの間宮由子さんみたいな有名人とコラボした企画をウチが立てるなんて。信じられません…」
山本くんが若いくせにしみじみと呟くので、
「おいおい。まだ企画段階なんだからな。大変なのはこれからだよ。俺はこの通り、半年は戦力にならないのだから、お前ら若い連中がしっかりと仕切ってくれなくては、な」
「ええ。この企画が上手く行ったら、ウチの会社大きく変わりますよ、ね?」
山本くんが目をキラキラさせながら俺に問いかける
「そうだな。嘗てないほどの注目を浴びることになる。先の話だけど、そこからどう我々が立ち振る舞うか、だよ。大きく進むか、フツーに停滞するか」
「うわ… そんな先の事、まだ考えられませんよ。目の前のことに一杯一杯ですから」
「それでいい。目の前のことに集中しろ。全力でぶつかれ。後の事は俺がしっかり考えておくから。」
「専務… 金光さん… オレ、今、初めて金光さんのこと尊敬しましたっ」
初めて、かよ。俺はプッと吹き出しながら、
「山本くん。光子がー、あの、伝説のクイーンがお前に話あるってさー」
「いやーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
以前『しまだ』に連れて行き、本人の目の前で伝説の不良の過去をネット検索して以来、彼は光子を心底恐れている。きっと昔不良にカツアゲされたか、ボンタン狩りにあったとかのトラウマがあるのだろう。