第3章 第2話

文字数 696文字

 玄関を出て車に向かう途中、先程の金髪の女性が後を追ってくる。

「おい、待てよ」
「何でしょう?」
「アイツが… ゆーこがこんなことする筈絶対ねえ。ちゃんと調べろ」

 妙に目力のある女。これがあの、
「島田光子さん。」

 島田はギョッとした顔で、
「へ? なんでアタシの名前…」

 俺は目を細め、脳内のファイルをゆっくりと紐解いていく。
「間宮由子と中学生時代に先輩後輩の関係。間宮が14の時に起こした窃盗事件。それに憤慨して放火未遂。」
「ちょ… 何でそんなこと知ってんだよ…」

「それと。金光が蓮田SAで轢き逃げされた後の救命、その後の入院生活での付きっきりの介護補助。」
 
 島田の目がキラリと光り、細く鋭い目となる。

「オマエ… ハムか?」

 公安をハムと呼ぶか。相当警察慣れしている。

「昔の部署でしたが、今は刑事部捜査二課です。」

 首を傾げながら、
「二課って… 詐欺とか脱税とかだろ… 盗難は三課じゃねえのか?」

 昔からずっと警察に面倒をかけてきただけあって、警察組織を熟知している様子につい微笑んでしまう。

「フッ 流石にお詳しいですね。ですが今回の件は盗難事件ではありません」
「じゃあ何の容疑なんだよ?」
「簡単に言えば、贋作を使った詐欺事件、です」

 ほんの一瞬。瞬きをする。どうやら寝耳に水といった訳ではなさそうだ。ひょっとしたら間宮絡みで何か出てくるかも知れない。

「アイツはそんなのに関わっていねえ。絶対!」
「それをこれからしっかり捜査するのです。島田さん、任意で結構ですので是非貴女にも事情聴取をお願いしたい」

 島田はその鋭い目で俺を睨みながら、
「わかった。後で…アイツと…行く。」
「お待ちしています。」
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