17。合流②
文字数 1,627文字
結局、近くの1年生教室へ入り、一息ついているご一行様。
私たちとぶつかった塊は知っている3人だった。若干1名は誰って感じの子だけど……。
「萌慧 、落ち着いた?」
「うん、落ち着いた…」
大きく息を吐くと、私に向かって延びてきた手が、腕をつかんで引っ張った。
「わっ……!」
「黙ってなに消えてんのよ……」
至近距離に彼女の息づかいを感じる。
「消えたつもりはないの」
「実際、いなくなったじゃない。何で言ってくれないの」
「ごめん……」
「一静 、そういうとこあるよ。ちゃんと悩んでるって言いなさいよ。あんた以外からあんたの話しなんて聞きたくないよ」
「ごめん。…ん?私以外?」
「え?ああ…柚南 さんが来たの、学校に」
思いもよらない名前を聞いて、少なからず驚いている私がいる。
柚南?まさか…。
彼女は面倒な関係性は嫌っていたはずだけど。
「はあー!とにかく!いて良かったー!」
「やっぱり思い付きだったんですね?!」
その“知らない顔の”若干1名が声を上げる。知ってる、知ってるで挟まれてオセロみたく“知ってる?”ってなりかかったけど、やっぱり知らない。
「ああもう、快 うるさい…。いたから結果オーライでしょ?快、この子が私の親友の一静。一静、彼は私の後輩の快。一静を探すって飛び出した私について来たの」
「萌慧さんの後輩やらせてもらってます、快です!会えて光栄です」
「こ、こちらこそです」
すごく真っ直ぐな子だわ……。
この不可思議な状況で自己紹介がすんなり出来るってすごいことだ。
「ところでと…。色々あるけど……」
「私も」
「だよね。私は“あれは彰生 だよね?何でいるの?”ってこと」
「私は“耀 ”ちゃんだよね?一緒にいるのは”」
お互いにお互いの後ろにいる男を見る。
視線を当てられた男たちは、私たちではなく、名前をあげられた互いを見つめていた。
「なんかずいぶん時間が経ってるって思えないよな」
と耀。
「ほんとだな…てかさ、耀と話すのも久しぶりなんだけど俺…」
と彰生。
当然といえば当然なんだろうけど、幼い頃の無垢なヤンチャさがなくなったせいか、親交度合いに距離を感じる会話だった。
机に座ってる彰生。まあ、本来ならお行儀悪いって言われるんだろうけど、仕方ない。1年生の机と椅子は通常よりずいぶん小さいのだ。みんな椅子には座れない。
あー……何故か快くんはその椅子にしっかりと座っているが……。
「それはお前が親戚の集まりに来ないからだろ?」
「行けると思うのか?」
「ここで言うのかよ……」
え…なにその会話は……
距離どころか、クラックが生じてるじゃない。
「ねえ、一静、」
近くまで来た萌慧がちょっと真面目な顔して話しかけてきた。
「ここに入りたいって思って入ってきた?」
「え……、うーん、」
どうだったかな。何となく足がここに向いてきたけど……
「入りたいっていうよりは、“どうぞ”って感じで迎えられたっていうか……」
「うん、分かる。私もそう。だからなのか、こんなに変な空間なのに怖くない」
「確かに……。てか、やっぱり萌慧って冷静ね」
「ええ?」
「いつも落ち着いて対応してくれる。それでいてユーモアもあって……」
「まってまって」
驚いたように萌慧は私の言葉を止めた。
「一静、私が冷静でいい女だなんて言った?」
「……萌慧さん、一静さんは、いい女は言ってないです……」
「妙な訂正いれないでよ、快!あのさ…自分で言うのもなんだけど、私って確かにいい女だけど“冷静”とはかけはなれてるよ?とっちらかっちゃって、後輩にも心配される始末だし……どっちかっていうとあんたじゃない?落ち着いて行動できるの。だって、小学校の時……」
ずずずずずずzzzzzzz
地底から響いてくるような音が響く。揺れていないのにまるで足元がぐらついたような錯覚に落ちる超低音…。
「な、なっ…!」
思わず身構える5人。
「これって、さっき体育館が消えてく前にも聞こえてましたよね?」
快くんの言葉にみんな固まった。
待ってよ…消えてくって…何?
私たちとぶつかった塊は知っている3人だった。若干1名は誰って感じの子だけど……。
「
「うん、落ち着いた…」
大きく息を吐くと、私に向かって延びてきた手が、腕をつかんで引っ張った。
「わっ……!」
「黙ってなに消えてんのよ……」
至近距離に彼女の息づかいを感じる。
「消えたつもりはないの」
「実際、いなくなったじゃない。何で言ってくれないの」
「ごめん……」
「
「ごめん。…ん?私以外?」
「え?ああ…
思いもよらない名前を聞いて、少なからず驚いている私がいる。
柚南?まさか…。
彼女は面倒な関係性は嫌っていたはずだけど。
「はあー!とにかく!いて良かったー!」
「やっぱり思い付きだったんですね?!」
その“知らない顔の”若干1名が声を上げる。知ってる、知ってるで挟まれてオセロみたく“知ってる?”ってなりかかったけど、やっぱり知らない。
「ああもう、
「萌慧さんの後輩やらせてもらってます、快です!会えて光栄です」
「こ、こちらこそです」
すごく真っ直ぐな子だわ……。
この不可思議な状況で自己紹介がすんなり出来るってすごいことだ。
「ところでと…。色々あるけど……」
「私も」
「だよね。私は“あれは
「私は“
お互いにお互いの後ろにいる男を見る。
視線を当てられた男たちは、私たちではなく、名前をあげられた互いを見つめていた。
「なんかずいぶん時間が経ってるって思えないよな」
と耀。
「ほんとだな…てかさ、耀と話すのも久しぶりなんだけど俺…」
と彰生。
当然といえば当然なんだろうけど、幼い頃の無垢なヤンチャさがなくなったせいか、親交度合いに距離を感じる会話だった。
机に座ってる彰生。まあ、本来ならお行儀悪いって言われるんだろうけど、仕方ない。1年生の机と椅子は通常よりずいぶん小さいのだ。みんな椅子には座れない。
あー……何故か快くんはその椅子にしっかりと座っているが……。
「それはお前が親戚の集まりに来ないからだろ?」
「行けると思うのか?」
「ここで言うのかよ……」
え…なにその会話は……
距離どころか、クラックが生じてるじゃない。
「ねえ、一静、」
近くまで来た萌慧がちょっと真面目な顔して話しかけてきた。
「ここに入りたいって思って入ってきた?」
「え……、うーん、」
どうだったかな。何となく足がここに向いてきたけど……
「入りたいっていうよりは、“どうぞ”って感じで迎えられたっていうか……」
「うん、分かる。私もそう。だからなのか、こんなに変な空間なのに怖くない」
「確かに……。てか、やっぱり萌慧って冷静ね」
「ええ?」
「いつも落ち着いて対応してくれる。それでいてユーモアもあって……」
「まってまって」
驚いたように萌慧は私の言葉を止めた。
「一静、私が冷静でいい女だなんて言った?」
「……萌慧さん、一静さんは、いい女は言ってないです……」
「妙な訂正いれないでよ、快!あのさ…自分で言うのもなんだけど、私って確かにいい女だけど“冷静”とはかけはなれてるよ?とっちらかっちゃって、後輩にも心配される始末だし……どっちかっていうとあんたじゃない?落ち着いて行動できるの。だって、小学校の時……」
ずずずずずずzzzzzzz
地底から響いてくるような音が響く。揺れていないのにまるで足元がぐらついたような錯覚に落ちる超低音…。
「な、なっ…!」
思わず身構える5人。
「これって、さっき体育館が消えてく前にも聞こえてましたよね?」
快くんの言葉にみんな固まった。
待ってよ…消えてくって…何?
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