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文字数 746文字

 親父は沢山の政府の機関や、企業から売ってくれと言われたが。いや世界平和の為ならば、只でとその製造方法を無料で公開しようとしたその時、泣いて止めたのがお袋だった。
 親父がローンで建てた家が固定資産税が払えなくて、競売にかけられる寸前だったのだ。
 そして、回りにいる御弟子さんと言う名の、厄介者(失礼)居候軍団が、

「先生カップ麺は食い飽きました。白い御飯が食べたいです」

と泣きながら訴えたのである。
その時、親父は初めて気が付いたのだそうだ。

「てっきり、君達はカップ麺が好きなのだなと思っていたよ。お米を買えるぐらい儲けても、構わないよ」

と製造方法を売る事を許したのだ。
 だが、この男の回りに集まる者達も、天才と呼ばれながら。全く社会に馴染んでいない。
類は友を呼ぶとはこの事だ。
 何故か、藻を増やしてそれを売りだした。
機械の製造方法は?何故、完成品を売らない。
作れないなら、企業とタイアップしろ!
 まあ、それでも人並みの生活が出来て。
弟子達がアルバイトに行かないで済むくらいの稼ぎは得たそうな。今でも巷で人伝に売っている、ヨーグルト茸みたいな物だ。

 そんな親父が何故、最新鋭戦闘機を盗めと、俺に言ったか。
 まあ俺も感動した話だから、あまり責められないのだが。世界平和の為にだそうだ。
この言葉に俺は弱い。ガキの頃より勉強より、スポーツより仲間を大事にしろ。
人の為に何かが出来なければ人ではない。
平和に人々が暮らす為に生きろと言われ続け。その言葉が嘘ではない事を身に沁みて理解していた。

 確かに、何人かには裏切られたり。社会人に成ってからは、騙されたりもしたが。
大抵、周りの人が助けてくれたものだ。
 世界平和。これは家訓と言っても良かった。
だから、その言葉が出ては、到底逆らう事など出来なかったのだ。
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