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文字数 936文字

 それからの俺は、当然だがゼニックをクビになっていた。
 事件は闇に葬られたが。事実を知る国は俺をゼニックに置いておく事に、恐怖を感じた様だった。
 俺は親父の造った、苔だか藻だかの栽培に精を出していた。

 そんなある日、国際郵便で荷物が届いた。
かなり大きな木箱だった。
 俺は何処からだろうと思って。差出人を見て驚いた。
スウェーデンのリンダ博士からだった。
弟子達がニコニコ笑いながら、それをリビングに持っていった。
そこが1番広い場所だからだ。
 乱暴に釘打ちされた木箱をバールで開けると沢山の緩衝材が見えた。
それを外に出すと何かの機械ユニットが現れた親父は覗き込んでニヤリとした。

おいおい!まさか、また何か企んでないよな?
 中の機械を取り出すと2時間程かけてセッティングが済んだ。
俺はリビングのソファーで、何をしているのか訝しげに見ていた。
 リビングのテレビに、何処から借りてきたのかパソコンを介して機械を接続し。
テレビの上にはカメラをつけた。
何かの通信装置かな?と思っていると。
 弟子の1人が親父を呼んだ。

 そして機械を起動した。沢山の数字と何処の言葉か分からないアルファベットが、画面1面に並んだ。
天才の御弟子さんは、それを見ながらパソコンをニコニコ笑いながら操作した。
 すると荷物で来た機械が、ヒューン!と大きな音をたてた。
そして、パッ!とテレビの画面に、3D映像の女性の顔が映った。
外人さんだ。彼女は、

「はじめまして。私がリンダ博士が造った、
ジョウサンです。お久しぶりですね、
桜花隼人。生きててくれて良かった」

と言った。俺は啞然として、

「リンダ!生きてたのか?!」

と画面に手を当ててしまった。すると、

「はい、撃墜される時、パージしましたから。
何とか、博士のお仲間が回収してくれました」

「良かったぁ!・・・。えっ?何でここに?」

と俺が聞くと。
回りの天才達と親父が、ニヤニヤ笑っていた。
 そして、笑うリンダは、

「ではこれから、世界平和作戦、第二段へと、移行します。月基地が出来てからの太陽系連合について、お話ししましょう」

と宣った。
 俺は啞然とした。
どうやら俺は、とんでもない企みに巻き込まれているようだ・・・。

 終わり。


 平成29年4月6日初稿
 令和5年4月13日加筆修正。
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