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文字数 810文字

「な、何をした?・・・」

「重力エンジンを使いました。レーダーも見失ったでしょう。いきなり、五千メートルも垂直に移動したのですから。
レーダーは、ある程度予想して索敵していますから」

「はっ!大したもんだ。これなら宇宙旅行も簡単だな」

俺がそう言うと。

「そうですね。何なら成層圏を突破しても良いですが。ミサイル衛星にマークされます。
どうします?このまま、太平洋を越えるつもりですか?」

「ダメかな?それよりも、君は何者だ?」

「それを、今更聞きますか?」

 どうも、こいつは人間の様だ。人工知能が、これ程流暢に受け答えするとは思えない。

「君は何処に隠れて指示を出しているな。
親父を騙したな」

 何故か彼女は、フーッと溜め息をつき。

「何処にも隠れてません。ここに居ます。
そして、騙してもいません。協力者です。私は身体を持たないので、この戦闘機以外には。
パイロットを殺してしまうのは忍びなかったので。あなたのお父様に協力を依頼しました」

「どうやって?ああ、良いや。難しい事は良く分からん」

「パソコン通信です。私の開発者は、私を人間に近付けたかったので。人間との会話を許可しました。当然、相手は選びましたが。
それが、あなたのお父様と言う訳です。
世界平和を訴える素敵な方です。
それよりも、急いで決断を。
太平洋には迎撃機が待ってます。
撃ち落とせなければ、ミサイル衛星の集中攻撃を受けます。
敗ける気はしませんが、手加減出来ません」

「ではどうする?当初の予定では、逃亡先は、日本だったんだが」

「はい。ですが、それではあなた方が捕まってしまいます。私は1人の犠牲者もなく、この兵器の脅威を世界に知らせたいのです。
世界平和を言いながら、人を犠牲にするのは、私の主義に合いません」

「主義ね。兎に角、何処へ行く?」

「カナダを越えて、ロシアに入ります」

「えっ、まさか、それが最初からの・・・。
面倒だな、それでどうする?」

「最強防衛システムを、凌駕してやります」
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