第3話

文字数 1,269文字

「・・・んぅ?」

フィルター越しの滲んだ世界が、目覚めとともに見える。ここは?思考が空白から、恐怖に少しずつ移行される。認識していなかった鼓動がいやでもきこえる。私これからどうなるんだろう。殺されるのかな?待って、冷静になろう。



その場に私は座った。こうゆう時に限って正義さんがいない。あの人がいれば・・・あ。そうだ。直前まで私は正義さんとT橋に向かっていた。そこまでしか思い出せない。次は周りを見わたす。えーと、私の数少ない語彙力でも表せるような空間だ。病院みたいに一面、白くて二つの扉とモニター以外何もない正方形の空間だ。



失礼かもしれないけど、正義さんがやった可能性もあると思う。というか、そっちのほうが助かる。あー。こんな場面で助けてくれそうな人が、無職の嘘つきしかいない私が悲しい。まぁでも、根はそこまで悪くない人だとと思う。とにかく、脱出方法を考えないと。



俺はすぐにT橋に着き、橋の下に行った。

「あぁ?・・・なんだ正義か。待ってたよ」

こいつが、隻腕野郎でお馴染みのおっさんだ。本名は知らねぇ。興味ないが。

「話がある。金は後だ」

何故かおっさんはニタニタ笑みを作っている。俺がサツなら現行犯逮捕だ。

「全部知ってる。それもよーく、ね。嬢ちゃんなら監禁されてるよ。」

「はぁ?てめぇがやったのか。つまんねぇ冗談なら中世ヨーロッパ式の処刑方法を、この場を借りて実践するぞ。・・・もちろんてめぇでな」

「おお。それは怖いな。自分が言ったことが真実でよかったよ。・・・やったといえば、ある意味あってるかもな。潜入捜査ってやつだよ。」

「長え話聞いてやるから、知ってること全部はなせ」

「はっ、たまには思いやりってやつを持って欲しいものだね。それがものを頼む態度かい?」

「それが生きることを望んでいる態度か?俺に殺されて欲しいようにしか見えないんだが。これが最後の脅しだ。つぎが有るといいな」

「ないだろうね。ま、話させてもらうよ。嬢ちゃんが何をしているかしってるよね」

ロマンス詐欺のことだろう。

「・・・つまり、逆恨みした男が私怨で現在復讐中ってわけか?」

「ああ。その通り。しかもただの監禁じゃない。ゲームによる殺し合いをやらそうとしているんだよ」

「それであんたは、それを阻止しようとゲームの参加者か運営側になったってことか」

「運営側さ。恐らく安い金でホームレスを雇っているんだろう。僕がその一人だからね。そこで正義にしてほしいことがあってね。なるべく仲間を、引き連れて監禁現場まできてほしい。現場はI町の2.10.3の家だ」

「ああ。わかった。あんたのためにもさっさとやるよ。保土ヶ谷はあんたの娘だからな」

「・・・何?」

「いや、じゃあな」

そして俺は、橋の下からでて馬鹿どもがいる町に繰り出した。俺の人脈は大したことはない。ただ、俺の知り合いの1人に人脈をもってる奴がいる。そいつ頼んで、人を引き連れてもらうしかなさそうだ。



俺は趣味と副業を兼ねて、幻覚が見れるサボテンを粋がってる奴らに売りさばいている。その1人が、そいつだ。今は真昼間だが、裏路地にいるだろ。
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