第6話

文字数 1,403文字

私は白い部屋の中脱出方法を探そうとしたが、手が鎖で床につながれていることに気が付いた。左手を床について座っている。前方向にも鎖があるから、もう1人来るのだろう。すると、後ろの扉が開いて1人の男性が2人の男性に引きずられて、鎖につながれた。今が脱出のチャンスかもしれないが、情報が少なすぎる。実際はリスクを冒すのが怖いだけだけど。



「・・・?」

目の前の男性が目覚めると同時に、モニターが点いた。そこには野球帽を深くかぶって、バンダナで顔半分を隠した、肩幅的に恐らく男性が映った。バンダナがなければ、なんだっけ、ほら、えーっと、正義さんの好きなラッパーに似ている。そのキャップ男が喋りだした。

「えー、ん?始まってるよな・・・保土ヶ谷さん、河田さん。今日はお越しいただきありがとうございます。私は、えーこうゆうのなんて言うんだっけ・・・あ!そうそう、どうもこんにちはゲームマスターです」

河田さん・・・前にいる男性のことか。

「いまから2人には、ゲームをしてもらいます。えー、そして、そのゲームに負けた方は死んでもらいます。」

キャップ男が、慣れない感じで喋りだす。

「え?」

河田さんは何が何だかわからない様子だ。ゲームに負けたら殺される、か。

そんな気はしていたが、まださすがに信じきれない。何より、思ったより自分が冷静なことに驚いている。

「そのゲームのルールは、えー、こちらです」



そしてモニターが、ルール説明画面に切り替わった。そこにはこう書いてある。あなた方の手を拘束している鎖は、ゲーム画面になっています。そこにはそれぞれ、1、2、3と数字が表示されていて、その隣にはたてに10個のマス目があります。あなたはその数字を選択し、その数だけマス目を進むことが可能です。



そして先に10マス目に到達できた方の、勝利です。ただし、あなた方にはターンごとに数字を選んで頂くのですが、その際数字が被った時、ゲームマスターがその数だけ進みます。ゲームマスターが10マス目に到達した場合、

ランダムであなた方のどちらかに死んでもらいます。ゲーム画面の操作は、手からのびた鎖で可能です。



「あー、えーもういいですか?いいですよね。はい。画面変えます」

10個のマス目に画面が切り替わった。ゲームマスターのマス目だ。

「はい。じゃあ、えー、えっと、ゲームスタート!」

鎖に数字とマスが表示された。私は右手を、腕時計をみるときみたいにした。そして、よく見るとボタンが付いている鎖を右手で握った。

「・・・保土ヶ谷さん。悪いけどこのゲーム俺の勝ちだ」

河田さんが言った。この人も意外と冷静だなあ。どうゆう意味なんだろう。・・・あ、そうか。まんまと引っかかったのか。生きてこの部屋から出れる確証はないけど、この人に勝利するのは簡単かもしれないな。河田さんの目線から察するに。



 仲間探しに行き詰った俺は、考え方を変更することにした。隻腕野郎が言ってたことは要するに、戦力が欲しいということだ。人員はその1つであって、他でもいい。かといって俺が何か銃火器を持ってるとかいう、都合のいい話じゃない。



だったら最初からそれもってこいって話だろ。俺の作戦は、詐欺だ。そのためには演者がもう1人必要なんで、その程度ぐらいのことなら利用されてくれそうなやつを知ってる。後必要なものを用意しよう。よし、動くか。そして俺は裏路地から、居酒屋横の使われていない駐車場に向かった。



 
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