#2
文字数 1,540文字
道ゆく人々は皆、それぞれの色の羽を持っていた。小さいものから大きなものまでたくさんの種類がある。
色も青、紫、赤、と言うようなはっきりしたもの。それから言葉に表せないような細かなものまで一人一人が違っている。同じ青と言われるようなものでも、微妙に明るさが違っていたり、見ていて飽きない。
まず、私たちは商店街に向かった。
さらに人通りが多くなる。
そこで私はやっとあることに気づいた。
私とアレグレだけ浮いてる。通り過ぎる人がこちらを一瞬見る。多くの人がそうして通り過ぎていく。
私たちの周りには人はいない。商店街は人が多く、混み合っているというのに。
よく見ると、彼らの視線は羽のないアレグレだけではなく、私にも向いていた。私が一緒にいるのはやはりおかしいのだろうか。
居心地の悪さを感じながらも店に向かう。
道の両脇にはたくさんの店が並んでいる。
私たちはその中の果物屋に寄った。
美味しそうなりんご、葡萄、みかんなど、様々な季節の果物が揃っている。
「何か欲しいものはあるかい」
彼は優しく聞いてくれるが私は戸惑って首を横に振るばかりだ。
「どれを食べてみたい?」
彼はなおも聞いてくれる。
私は結構悩んだ末、指差した。
それはきれいな緑色の青リンゴ。傷ひとつなく見るからに美味しそうだった。
「これください」
深い青色の羽を持った店の人にアレグレが言うと、彼女はおかしな返答をした。
「二つで120リンだ」
「いや、これは…一個50リンって」
アレグレが困ったように言う。
どうやら、割り増しで請求されているようだ。
「120リンって言ったら120リンだよ。いらないのなら帰りな」
店の人の言葉に言い返さないまま彼は黙ってしまっている。見ると彼の背中はすごく困惑した表情だった。
私に何かできないだろうか。そう思って周りを見渡す。
そこにはちょうど、赤いリンゴを買う人の姿があった。
その客と、もう一人の店員が値段を確認しあっている。お客さんは笑顔で稟議を買い、店を出たようだ。
私はアレグレの袖を小さく引っ張り、
「やっぱそれにする」
と小さく言った。
彼は申し訳なさそうな顔をして言った。
「本当にいいの?」
私は大きく頷いた。
「すみません。やっぱり、赤リンゴ二つお願いします」
そう言ったアレグレに店員は面倒臭そうにあからさまなため息をついてから言った。
「アレは二つで90リンだ」
彼女はまたも割り増しで取ろうとしているようだ。すかさず私は言ってやった。
「さっきのお客さんはひとつ80リンで買っていましたよ」
喋らないと思っていた私が口を開いて驚いたのか、不備を指摘されて言い返せなかったのか彼女
は少し黙ってから口を開いた。
「ちっ。…そうだな。今回は80リンにしといてやるよ。満足したならさっさと帰りな」
望む値段で買えたものの蟠りが残っていた。
「あのおばさん嘘つきだね。私たちが出て行った後のお客さん、青リンゴを、一個50リンで買っていたのに」
イライラする心情を吐き出したいと、口にする。
「なんでみんなアレグレさんの話は聞かないくせに私が言ったらいいって言うの。不公平じゃない」
彼は私の言葉を聞き、困ったように口を開いた。
「人のことを嘘つきなんて人前でそんな大きな声で言うものじゃないよ。それに、僕は羽がないからしょうがないんだ」
そんなことはない。
大きな声で言い返してやりたかったけど、おそらく彼は微笑んでいるだけだろう。意味がないと思い直してやめた。
果物屋の他はいくつか生活必需品を扱う店を回って家に戻る。
その日は一日中むしゃくしゃした気持ちのままだった。
アレグレが作ってくれた夕食も特に味を感じなかった。
なんとなく許せない。
彼が不幸に見えて仕方がなかった。
色も青、紫、赤、と言うようなはっきりしたもの。それから言葉に表せないような細かなものまで一人一人が違っている。同じ青と言われるようなものでも、微妙に明るさが違っていたり、見ていて飽きない。
まず、私たちは商店街に向かった。
さらに人通りが多くなる。
そこで私はやっとあることに気づいた。
私とアレグレだけ浮いてる。通り過ぎる人がこちらを一瞬見る。多くの人がそうして通り過ぎていく。
私たちの周りには人はいない。商店街は人が多く、混み合っているというのに。
よく見ると、彼らの視線は羽のないアレグレだけではなく、私にも向いていた。私が一緒にいるのはやはりおかしいのだろうか。
居心地の悪さを感じながらも店に向かう。
道の両脇にはたくさんの店が並んでいる。
私たちはその中の果物屋に寄った。
美味しそうなりんご、葡萄、みかんなど、様々な季節の果物が揃っている。
「何か欲しいものはあるかい」
彼は優しく聞いてくれるが私は戸惑って首を横に振るばかりだ。
「どれを食べてみたい?」
彼はなおも聞いてくれる。
私は結構悩んだ末、指差した。
それはきれいな緑色の青リンゴ。傷ひとつなく見るからに美味しそうだった。
「これください」
深い青色の羽を持った店の人にアレグレが言うと、彼女はおかしな返答をした。
「二つで120リンだ」
「いや、これは…一個50リンって」
アレグレが困ったように言う。
どうやら、割り増しで請求されているようだ。
「120リンって言ったら120リンだよ。いらないのなら帰りな」
店の人の言葉に言い返さないまま彼は黙ってしまっている。見ると彼の背中はすごく困惑した表情だった。
私に何かできないだろうか。そう思って周りを見渡す。
そこにはちょうど、赤いリンゴを買う人の姿があった。
その客と、もう一人の店員が値段を確認しあっている。お客さんは笑顔で稟議を買い、店を出たようだ。
私はアレグレの袖を小さく引っ張り、
「やっぱそれにする」
と小さく言った。
彼は申し訳なさそうな顔をして言った。
「本当にいいの?」
私は大きく頷いた。
「すみません。やっぱり、赤リンゴ二つお願いします」
そう言ったアレグレに店員は面倒臭そうにあからさまなため息をついてから言った。
「アレは二つで90リンだ」
彼女はまたも割り増しで取ろうとしているようだ。すかさず私は言ってやった。
「さっきのお客さんはひとつ80リンで買っていましたよ」
喋らないと思っていた私が口を開いて驚いたのか、不備を指摘されて言い返せなかったのか彼女
は少し黙ってから口を開いた。
「ちっ。…そうだな。今回は80リンにしといてやるよ。満足したならさっさと帰りな」
望む値段で買えたものの蟠りが残っていた。
「あのおばさん嘘つきだね。私たちが出て行った後のお客さん、青リンゴを、一個50リンで買っていたのに」
イライラする心情を吐き出したいと、口にする。
「なんでみんなアレグレさんの話は聞かないくせに私が言ったらいいって言うの。不公平じゃない」
彼は私の言葉を聞き、困ったように口を開いた。
「人のことを嘘つきなんて人前でそんな大きな声で言うものじゃないよ。それに、僕は羽がないからしょうがないんだ」
そんなことはない。
大きな声で言い返してやりたかったけど、おそらく彼は微笑んでいるだけだろう。意味がないと思い直してやめた。
果物屋の他はいくつか生活必需品を扱う店を回って家に戻る。
その日は一日中むしゃくしゃした気持ちのままだった。
アレグレが作ってくれた夕食も特に味を感じなかった。
なんとなく許せない。
彼が不幸に見えて仕方がなかった。