最終話 <俺は負けねぇ!!>

文字数 620文字

俺は舞台袖で出番を待っていた。

「本年度の日本アクターズアワード、
助演男優賞は、佐伯博也さんです!」

大きな拍手とスポットライトの中、俺は舞台の真ん中に歩いて出た。

「プレゼンテーターは
昨年度の助演男優賞を受賞した中野智巳さんです」

トロフィーを抱えた中野がゆっくりと歩いてきて、
それを受け取ると、俺たちはどちらともなく肩を組んだ。

「あ、こいつのゲイ説は嘘なんで!」

俺を指差して中野は言った。

「さて、来年はどっちが主演男優賞かな?」

「負ける気がしねぇ!」

俺たちは睨み合いながらも「ははは!」とお互い笑いあった。



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授賞式の後、しばらくして俺は中野の家に招かれた。

「さえきさーーん!」

玄関から元気よく拓海くんが出て来て、
その後ろに熊坂さんが顔を覗かせた。

「拓海くん、少し大きくなったな!
熊坂さんはヘアスタイル変えたんだね」

そう言うと奥から中野と熊坂さんが出て来て、

「わー、やっぱりだまされたーー」

と笑顔で言った。

「え? あれ?」

俺が戸惑っていると、熊坂さんが言った。

「双子の妹の小桃です。
今、愛媛から遊びに来ていて」

「え? 双子だったの!?」

俺は二人を見比べた。

「美しく咲く小さな桃の花。
二人が生まれた時、庭の小さな桃の木が
満開に花を咲かせていたんだって」

中野がそう言い、

俺は「へー」と言いながらリビングに通された。


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