夜更けの烏

文字数 262文字

濡羽色の烏が 何処かへ行った
夜を切り取ったような あの子が

冷たいナイフ 無機質な眼差し
黒が似合う美しさ
透き通るような心

私も烏となれたならば
何処までも一緒に飛べるだろうに
夜を 朝を 天を越えて
何処までも一緒に行けるだろうに

君の色彩は綺麗だと
私もそうでありたかったと
烏に向かって呟いて
けれども届く事は無く
飛び立つ烏を見送った
濡羽色の烏を

雀と呼ばれた私は今日も
大鷹の夢を見て生きている
烏の君を時折思い
世界を隔てた懐かしさに浸り
きっと元気でいるだろうと
夜更けの中で また睡る

闇が全てを覆い隠す今なら
また君と逢える そんな幻想 なんて
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