休息

文字数 384文字

歩み続け走り続け
気が付けば此処に居た
箱庭をぐるぐる廻って
何処か辿り着いた気になって

乾いた流木へ座れば
緑青の美しさが広がっていく
鳥と虫の歌声が聴こえてくる
吐いた息すら幻想的に見えて

アスファルトにジュースの缶を置くと
此処まで来たという目印のような
後から誰かが続いてくるような
そんな感覚が心に奔る

あと何年あと何年
変わらぬ世界を征く旅が
生命をもって進められるか
終わりの時を迎えるまで

あと何年あと何年
果てしない旅の軌跡を
心をもって感じられるか
永久の睡りにつく日まで

自販機に寄り掛かれば
微細な機械の音が響く
見上げた天はあまりに透き通っていて
風に乗り飛んでいる鳶が羨ましかった

物語はこうした綺麗なものが
連続していくらしい

変わらない箱庭の中で休み
また流木から立ち上がることだろう

変わらない世界

変わっていく己

ひとときの休息

(そら 鳶が彼方へ飛んでいった)

(飛べない人間は歩み続けるのみ)




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