文字数 458文字

物語の扉 色彩の鍵
開かれた世界に足跡を残して歩み
文字として刻まれた全てを渡る
一冊の書物は ひとつの惑星のような
広がる天地に 数多の生命が謳い

不意に 栞を挟み閉じれば
一瞬にして現世に戻り
少し寂しくあるまま 鍵を心にしまう

そうして冒険は続いていくのだと
本棚に並ぶ書物は かつて歩いた地の記録
明滅する星々の光に導かれるままに
歌でも口ずさみながら 旅路を征こうか
未だ知らぬ道でも 過ぎ去りし道でも
好きなように辿れば良い
其処で見聞きしたもの 触れたもの
愛したもの 憎んだもの 何もかもが幻だから

(挟む栞は贈られた宝物 なんて綺麗な花模様)

読まれた書物は何処へ行くのだろう
きっと知る事は無いのだろう
知らない場所で 物語は永遠に在ると

たとえ形無くそうとも甦り
またきらきらと輝きを放つものだと
夜天でも蒼天でも 朝焼け夕焼けの中でも
眩いくらいに



終末の鐘が鳴る 最果ての日
小さな身に抱えた書物の物語は
読まれずともいつか甦るものさ
そう告げて還れたなら

(挟む栞は遠い約束の証 なんて綺麗な花模様)

(来世があるならば きっと君を探して続きを)





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