夜更けの枕

文字数 405文字

睡るその時まで
瞳に映すのは星々が輝く夜天
魂が宿る光は
何処までも明るく
記憶の底にすら届くような

心の全てが暴かれそうな眩さに
思わず枕に手を触れる
不安定に震える意識を
未だ夢はさらってくれない
夜は更けていくばかり

窓硝子の向こうに広がる夜の闇は
何を隠しているのだろう
星々も月も其れを見詰めているのか
けれども照らしてはいない
隠し物を照らしてはいない

なのに何故だろう
こんなに明るさを恐れている
どうか私を照らさないで
此の心を照らさないでいて
見守ってくれているのならば

嗚呼 夢は未だ来ない
夜天を只々眺めるばかり
教えて貰った筈の星の名前は
どうやら蘇りはしないようで
心の空白が浮き彫りになる

月の向こうには光の世界がある と
いつか古い本で読んだ気がする
其処は楽しいのだろうか
自然が人工を生かし
人工が自然を食べているこの世界より

星の瞬き 月の揺らぎ
魂が宿る光
きっと夜は永い
思わず触れていた枕を握る
夜は更けていくばかり
夜は更けていくばかり
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