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文字数 351文字

ありきたりな物語だった
其処に電子の世界が訪れて
色とりどりの情報と言葉
名も知らない人々との縁
新たな場所へと繋がって
物語は一気に拡大した

此れはきっと 魔法の小箱
心を奪われ過ぎると戻れない
精神を余す所なく魅了し尽くして
気が付けば生命が終わるという
玉手箱も真っ青な

架空の自己を投影して闊歩する
電子は次々流れて消える
けれども触れた情報は生暖かく
人間の匂いがするものだから
少しずつ少しずつ騙されて

「ああ なんてしあわせな」

この世界の神様は何処だろう
きっと誰かに造られたあなた
私達をどう思いますか と
現に在りながら電子に沈む
そんな生命をどう思いますか

ありきたりな物語だった
その物語は焼却されて
虜のままに踊り歩く道化師と
別にそれでも良いじゃないの
死んだように生きるよりは


(あ もう一日が終わる)

(時計の針は進むものね)



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