公衆電話

文字数 370文字

ほんのひととき 昔のお話

スマートフォンに ガラパゴス携帯
この世界が便利に染まる前
街のあちこちに置かれた緑の電話が
僕達の繋がりでした

10円 100円 硬貨を持って
あるいはテレフォン・カードを手に
狭いスペースへ身体を滑らせ
あの人 この人 あちこちへ
電話をかけてゆきました

緑の電話はきっとあの頃
色々な人の 色々な話を聞いていて
誰より何より情報通
繋がりを求める人達は
街に緑の電話を探して歩く
そんな時代がありました



手のひらに電話を呼び寄せた
今の時代はただ遠く

緑の電話達も
いつしか姿を消していて

まるで子供の時には見えた
妖精が居なくなっていくようで

辺りを見回して探してみるも
緑の電話達は何処にも居ない


残されたのは
残されたのは


また いつか
会える日が来るだろうか

繋がりを求めて
探す日が来るだろうか

帰って来るだろうか

懐かしき日々の
街の景色に
溶けて消えた
公衆電話
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み