キャロルの「二人だけ」が好きな理由
文字数 545文字
「伝説のロックバンド」と長くそのように称され、1970年代に突如現れてはわずか2年半の活動期間に強烈なインパクトと衝撃を残し、時代を駆け抜けていった「キャロル」。
革ジャン、リーゼントのルックスに、ビートの効いたストレートなロックンロールのイメージが強い彼らのナンバーの中に、異色とも言える静かに美しく心に響くラブソングが一作存在する。
作詞/大倉洋一 作曲/矢沢永吉。
グループの大半の楽曲は、このソングライティングチームによるものだ。そして珠玉曲、「二人だけ」も二人の作品である。
ラブソングは、その数、星の如くあれども、様々な「ラブ」の姿、形、性質を捉えた楽曲が誕生している。
今回取り上げた、キャロルの「二人だけ」には、まだ自立前の若い男に迸(ほとばし)る儚(はかな)さが、歌詞で選んだ言葉の表現力の他に、作品の全体感の中かたしかなメッセージとして伝わってくれる。自信や希望といった、若さに満ち溢れた健康的なラブソングにはないナーバスさが、「二人だけ」の世界観には満ち溢れているのだ。
ヴォーカルを担当したジョニー大倉のボイススタイルも、この作品に宿るネガティヴな美のイメージを促す効果をもたらしている。
「二人だけ」の中に潜在する、そのような隠れた要素が、私は好きでたまらない。