第7話 円融天皇その2

文字数 404文字

 一の宮が無事生まれ、安心したのはよかったのだが。その後、これ以上右大臣藤原兼家に権力が集中しないように、関白頼忠殿の娘遵子に中宮の宣旨を下したまではよかった。遵子のほうが先に入内したのだし、父親の位も、遵子のほうが上だ。不当とは言えないと思ったのだが。
 そのあと、詮子は全く参内しない。一宮に会えない。当然、詮子から二の宮が生まれることはない。中宮遵子も、承香殿の女御(尊子内親王)も、子が生まれる気配が全くない。このままでは、余は本当に中継ぎに終わってしまう。兄の朱雀院には、たくさんの皇子や皇孫がいる。余の子は、たった一人。
 まつりごとも、右大臣兼家が全く参内しないので、滞りがちだ。このままでは、いずれ東宮への退位を迫られる。東宮は、兼家の兄藤原伊尹の娘懐子だ。兼家の力は及ばない。
 仕方がない。次の次の天皇、新しい東宮を一の宮とすることを条件に、東宮に譲位し余の子孫が天皇になるよう動くとしよう。
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登場人物紹介

藤原詮子…藤原兼家の正妻時姫の娘。同母の兄弟は、長兄道隆盛・次兄道兼・弟道長、姉超子。異母兄弟多数。我が子は、一条天皇だけ。

円融帝…冷泉天皇の弟。母は、兼家の姉藤原安子。村上天皇から見ると冷泉天皇は第2皇子。円融天皇は第5皇子。安子から見ると、第1皇子が冷泉、第3皇子が円融。ややこしい…。我が子は、一条天皇だけ。

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