第12話 道長の結婚

文字数 465文字

 弟道長にふさわしい女性を探していたのだが、素晴らしい姫君がいらっしゃった。宇多天皇の曾孫に当たられる。才色兼備。お父上は、左大臣源雅信殿。父兼家に意見の言える唯一の公卿でいらっしゃる。この結婚は摂政である父兼家と左大臣雅信殿の緊張緩和につながる。また朝廷の中心的地位にあり土御門邸をはじめとする財産を持っていらっしゃる雅信殿の婿になることは、道長にとって政治的にも経済的にも基盤の形成において大きな意味をもつことであろう。また、ご兄弟も多く、子宝にも恵まれる可能性が高い。わたくしは、一人しかお子に恵まれず、残念であった。代わりであるかのように弟道長をかわいがっている。同腹で、わたくしより年少なのは、道長だけであるし。
 永延元年(987年)二人は三日の餅を食べところあらわしを行った。すぐ次の年、玉のような姫君が生まれた。(後の彰子)めでたいことである。
 もう一人、我が子のようにかわいがっている姫君がいらっしゃる。先の左大臣源高明殿と愛宮の娘である源明子様だ。縁あってわたくしがお世話申し上げ、この姫君も道長の妻となられた。
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登場人物紹介

藤原詮子…藤原兼家の正妻時姫の娘。同母の兄弟は、長兄道隆盛・次兄道兼・弟道長、姉超子。異母兄弟多数。我が子は、一条天皇だけ。

円融帝…冷泉天皇の弟。母は、兼家の姉藤原安子。村上天皇から見ると冷泉天皇は第2皇子。円融天皇は第5皇子。安子から見ると、第1皇子が冷泉、第3皇子が円融。ややこしい…。我が子は、一条天皇だけ。

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