第22話 (レモネードの味わい)肉と精神の分離は、たとえ可能だとしても死後のこと

文字数 273文字

 寒そうにしている 女
 そうだあの喫茶店にホット・レモネードがあるかわからぬが
 彼女がその指を凍えさせるまえに なんとか
 肩を抱き 掛けぶとんをかけるわけにもいくまい
 しかし、あそこで、彼女さえゆるしてくれれば
 あたたかいレモネードを
 あのひとが背骨まで冷えるまえに


というのが肉体なしにありえないことなのだ
暑かろうが寒かろうが苦しかろうが心地よかろうが
存在をともにするとは 現世にあるかぎり 肉の関係だ
おいしいものを食べる ジェットコースターで風をともに感じる
肉体をもたずに なんの関係を相手に あるいは相互にもつことができよう
それが

 レモネード
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