第31話 これが最後になるかも

文字数 836文字

 仕事がきついものだから、悪循環になっている。遅刻して全従業員のまえでバケツの水を頭からかけられる。そのあと仕事をして家に帰る。とうぜん深酒をする。遅刻する。モップで頭を殴られる。仕事を終えて家に帰って泥酔する。心身ともに限界だがお金が必要だから遅刻しても出勤する。パンツ一枚のかっこうでバックヤード仕事をさせられる。
 そしてときどきこうしてサイトに投稿している。僕の人生に、まともに本を読む時間などなかったから、唯一、5巻あるなかの1巻だけ読み終えることのできた『次郎物語』が手本だ。書くのも酒を飲みながらだから手元がおぼつかない。ウイリアム・バローズという作家は、やはり飲みながら書いていたと、学生アルバイトの私語できいたことがある。ドラッグ中毒のすごい小説家だそうだ。ビートニクとかいう。いつか読んでみたいが、その機会はおとずれないだろう。また遅刻して会社で罰をくらったときにとうとう哀れな死に様をさらすか、運がよくても来週肝硬変で死ぬか。
 僕の会社にも僕のことをかわいそうに思ってくれる女の子がいて、たまにセックスさせてくれる。誰かと裸で体をぶつけあっていると、生きているって実感できるよね。まあ、解放されるということはない。セックス中も会社のいろいろが頭をはなれないで気持ちの腐れはそのままだ。僕は事情があってあの会社をやめることができない。ときどきセックスさせてくれる娘がいるからとかではない。お金ならどこかよそで稼げばいいと、僕の境遇をはんぱに知る人間は思うだろうが、僕にはどうしてもあの会社をやめられない事情があるのだ。
 僕の会社の黒幕は50cmくらいの身長の、黒褐色のミイラみたいな男なのだ。男かどうか実際のところ、性別不明だが。というのも彼のパンツを脱がせることは誰にも可能ではない。ただ、あの醜さからいって、女ではないと思うということだ。
 安酒が頭に効いてきた。それに僕はこわいのだ。酔ったいきおいで、ここまでは投稿してしまうが、こわくてたまらない。
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