第15話

文字数 988文字

すごい、すごい!
わたしのベースが合わさったら、1つの音になった。
明日葉ちゃんパパはバスドラとスネアを入れて来た。
バンドみたい!
「あっちゃん、中指でDも押さえて2本鳴らしてごらん」
「みーさんは高い方のG、あっちゃんの指の格好真似して」
みはちゃんの6弦が時々ビヨーンって鳴る。
「みーさん、3本鳴らしてごらん」
わあ、厚みが出た。
「よし、せりさん、抜けて」
「あっちゃん、8回抜けて、8回入ってを繰り返して」
「あっちゃん抜けて」
「よし、みーさんも次のシンバルで止まって」
ドラムが少し複雑になった。
「じゃあ、みんなで入るよ、せーの、さんはい!」
この時の、ドンッ、て感じを忘れない。
風が吹いたみたいに感じた。
明日葉ちゃんパパが歌い出した。
「きょおーはー、あーつい。くそあつい、くそあつーい。なーつは、あつーい。くそあつい、くそあつーい。カモン、ヘイ、ヘーイ!」
わたしたちは、ぷっと笑った。
楽しい!
明日葉ちゃんパパはみんなに指示を出しながら続ける。
「うーちのネコははち。はーちまーる、愛称はち。はーちは、かーわいい。くそじゃない、でもくそをする。せりさんストップ」
「あっちゃん、出たり入ったり!」
「あっちゃんストップ!、みーさん、まだまだー、オーケー、ストップ!」
ドラムソロ、めちゃめちゃだ。
明日葉ちゃんパパも叩くのやめて、「みんな、いくよ、せーのお、さんはいっ」
合わなかった。
「このくそあつさじゃネコも、床にべったりさー。
いちにちフローリングでー、べったりしてるのさー。エサ食う時とくそ以外はー、べったりしてるだけー。夏のネコー、夏のネコー、うちのネコー、夏のネコー」
明日葉ちゃんパパがめちゃめちゃに叫んで、しばらく続けたあと、シンバルをたくさん鳴らしながらみんなを見回す。
終わりっぽいな。
みんな、明日葉ちゃんパパをみて、最後の音を出す準備。
「イエーイ、サンキュー夏の猫!」
ドコドン。
みんなバラバラ。
今日はずっと見てたパパとママも笑いながら拍手してる。
すごーい、バンド、楽しい!
明日葉ちゃんパパは「しまった、最後みんなでにゃーって言えば良かった。コーラスはまた今度だね。」と言った。
明日葉ちゃん、わたしがめっちゃ笑ってたから、恥ずかしそうにしてたけど、明日葉ちゃんパパかっこ良かったよ。
わたし、本格的にベースやりたくなっちゃった。
帰ったら、今年の誕生日プレゼントにベースおねだりしてみよう。
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