人魚号からプロトキャッスルへ 1
文字数 2,912文字
マホは魔法の使い方を指導する立場なので、よく作業現場を巡っている。ついていってみるのも悪くない。
人魚号から外に出ると、
色々たわいもない話をしながらプロトキャッスルに入った。
1階は道路と駐車場のはずだけど、今は資材置き場になっている。あちこちで工事の音が響いてくるし、完全に工事現場の雰囲気だ。私たちはグランドシャフト内の階段を上った。
6階あたりでは、工場内の設備が出来つつある。金属のパイプを溶接でつなぐ作業をしている人がいる。
その後マホはちゃんと溶接を体験し、そこそこ上手にこなした。でも仕上がりをこっそり魔法で修正したっぽいぞ。
13階に行くと、床の作成作業が行われていた。型枠に砂を流し込み、錬成魔法で固めて石の床にする方法だ。作業としてはコンクリートに似ているけど、材料がその辺の砂でいいのが利点。そのうえコンクリートよりも耐久性が高いということが、大学でのマホたちの研究でわかっている。
14階より上はまだ床が出来上がっていないので、見上げると上のほうまで鉄骨や工事用の足場が見える。私たちは浮遊魔法で上に向かった。
あちこちで鉄骨を組む作業が行われている。大きな鉄骨をかついで飛んでいる人もいる。普通ならクレーンを使って鉄骨を運ぶのだろうけど、魔法を使うことで狭い所を通って運ぶこともできるし、たくさんの作業を並行して進めることもできる。作業効率が格段に良さそうだ。
23階に広い足場が組まれていて、その上でたくさんの人がトラス床を作る作業を行っている。ピコパイプの端をジョイントにつなぎ、そこから別のピコパイプにつなぐ作業だ。足場の上で作業して、ある程度の
1つのジョイントには8本のピコパイプをつなぐ構造になっている。ジョイントに固定する手順を間違うと2つのジョイントの間にピコパイプがはまらなくなってしまうので、固定していない状態のままであちこち支えながらピコパイプをはめていくのが手間暇かかる。みんな念動魔法を駆使して効率よく組み上げていっているようだ。
休憩中の男性作業員にマホが声をかけた。
作業員はそれ以上何も言わなかった。
ヌード写真はだめだけど、仕事を進めるたびに何かデジタルのアイテムがたまっていく仕組みにできないかな。翌日、そのアイデアをシステムエンジニアたちに共有しておいた。