魔法使いと女子大生 １
文字数 2,522文字
私がその魔法使いと出会ったのは十月上旬のある日の、大学構内を歩いていた時のことだ。
一見して魔法使いとわかる黒いとんがり帽子、黒いローブに、フリルがごてごてしたロングスカートの中世ヨーロッパ風衣装。そんな金髪の白人女性が路上できょろきょろしていた。
コスプレか。うちの大学には変わり者も結構いるし、いちいちツッコんでいたらキリがない。
と、その女性が私に近づいて声をかけてきた。
冒険者ギルドはどこか、ご存じでして？
ご一緒しませんか？
助かりますわ
二人で待ち合わせ場所の空き教室に行った。
あたしも今来たばかりなのー
ここが冒険者ギルドと伺いまして
じゃあねー、さっそく入会手続きをするのー
年下だったのか。見た目から年上かと思ってた。
翻訳魔法であなたがたの言語に変換しておりますので、きっと不自然に聞こえていましてよ
まず基本魔法、炎の魔法をこの子にぶつけるのー！
炎の魔法くらいへっちゃらなのー
……暖かい。あちこちに痛みを感じるけど、だんだん痛みが遠のいていく。
目を開けると、まぶしい光を感じた。私は教室の床に横になっていた。
ごめんなの
なんか非現実的なことを言われた気がするけど、今しがた非現実的な目に遭ったこの状況では受け入れざるを得ない。
自分の腕を見てみると、赤く焼けただれている所がみるみる小さくなり、白い肌になっていっている。それにつれて痛みも嘘のように消えていく。そこにイリスが布をあてがうと、布がうねうねと形を変え、焼失した
イリスちゃん、ごめんなさいなのー
あたしたちは冒険者じゃないし、ここは冒険者ギルドじゃないのー
わたくしのほうこそ申し訳ありませんわ、いきなり炎を浴びせてしまって、とんでもなく熱い思いをさせて……
それより、あなたって何者？
あの、到底受け入れられないかもしれませんが、驚かずにお聞きくださいませ
実は、わたくし、別の世界で一度死んで、突然この世界に来てしまいましてよ
このような事って、よくある事なのでして!?
到底受け入れられませんわ！
いや、異世界転生ってのは物語の中ではよくあるけど、実際にあるとは思ってなかった
