第８話　予知？

◇◇　予知？　◇◇


一昨年の夏のある日、なぜか頭に「横浜ドリームランド」という語がふっと浮かんだ。今考えても、なんの脈絡もなく、思い浮かんだのだ。横浜ドリームランド自体、もう、とっくに閉園してしまっており、その名前を思い出すのは、10年に1度、あるかないかだ。さらに、その数時間後、ネットで戦国大名・南部氏の出自について調べているうち、「波木井(はきい)某が日蓮の辻説法に感動し…」云々という記述を読んでいた。

その2日後、伯父の葬儀に参列した。
会館のロビーに飾ってあった、伯父が在りし日に描いた油彩画を見て回っていると、その一つに、「波木井日蓮上人像」と書いてあるのを見つけ、ああっ！と驚いた。さらに数時間後、火葬場の待合室で話をした年配の方から、「昔、貴方の子供時代に、横浜ドリームランドへ一緒に行ったことがありますよ」と、いきなり言われ、二度、びっくりした。


後日、一周忌の法要後、精進落しのさいにこの話を持ち出したところ、居合わせた親戚は、全然、驚きもしない。皆、うんうん頷いている。なかには「そういうことって、よくあるよね。」などと言う親戚もいる始末。この場の話題として、仏縁に類した話題として、好ましく思われ、受け容れられたのだろうか。

それとも、事象の一断面を切り取るとることで、天文学的な確率での偶然ではなく、あたかも必然であるかのように見えるにすぎないのだろうか。