4・独自の体制
文字数 1,239文字
通常のオンラインゲームやSNSというと、運営とユーザー、プレイヤーという大きく分けて二種側に別れるが【AG】にはその中間が存在する。
それは審議会とConciliator。
どちらもユーザーによってつくられた組織。審議会は主に違反者を取り締まるところであり人数やメンバーなどは明かされていない。
Conciliator はこの世界を統べるAI、マザーによって任命されユーザー名などが公表。リーダーを含み、全部で七名。
簡単に言えば、評議会は運営より委託型。
Conciliatorは運営より正式任命というスタイル。
役職を例えるなら、前者は裁判所。後者は警察のようなものである。
どちらも違反者を取り締まるために活動しているのだ。
だが活動の仕方はそれぞれ異なる。
評議会のメンバーは主に評議会での活動を優先。
Conciliatorは一般ユーザーのようにゲームをプレイしている最中に、呼ばれたら現場へ向かうという活動の形をとっている。
そして久隆はConciliator、first。つまりリーダー。
NO.2が右腕となりそうだが、ここでも役割は異なる。
ConciliatorではNO.7が特殊な位置づけであり、右腕となるのだ。理由としてはNO.6まではマザーからの任命で決まり、NO.7はfirstから任命されるスタイルだから。
受付にはかなりの人が集まっていた。
恐らくログアウトできずに苦情に来たユーザーたちだろう。
二階にはチーム申請所などがある。
久隆と咲夜は混乱するユーザーたちを尻目に、奥のエレベーターへ向かった。目指すは最上階。
「待って!」
ドアを閉めようとすると、息を切らして走ってくる長身で細身の中性的に見える人物が制止の声をあげた。
灰茶のストレートの髪に黒いに近い灰色の上下のスーツ。その上にコートを纏い、腕にはConciliatorの腕章。
彼女は通称ジャック。リアル 名、神楽優羽 と言う。Conciliator、NO.2の人物だ。
「ジャック、あなたも上へ?」
「first、NO.7。よくぞ御無事で。混乱を沈めるためには状況を知るべきかと」
久隆の質問に彼女は頷くと、そう言った。
「俺のことは久隆で」
「僕は咲夜でいいよ」
ゲーム内でも役職名で呼ばれるのは気恥ずかしいものがある。
二人は同時にそう告げると、彼女は驚いた顔をしたが、
「ではわたしも”神楽”もしくは”優羽”とお呼びください」
低姿勢の彼女は以前から久隆のことを知っており、そのプレイスタイルを尊敬していたという。
しかし久隆は強いわけではない。上手いプレーヤーというわけでもないのだ。自分も初心者でありながら、初心者狩りに合う弱い者たちを必死に守ろうとした。
その精神がマザーに評価されConciliatorのfirst【NO.1】として招集されたのである。
「じゃあ、神楽さんで」
年上の女性ありしかも古参の彼女を下の名で呼ぶのは憚 れた。
名を口にすると彼女は、嬉しそうに笑ったのだった。
それは審議会とConciliator。
どちらもユーザーによってつくられた組織。審議会は主に違反者を取り締まるところであり人数やメンバーなどは明かされていない。
簡単に言えば、評議会は運営より委託型。
Conciliatorは運営より正式任命というスタイル。
役職を例えるなら、前者は裁判所。後者は警察のようなものである。
どちらも違反者を取り締まるために活動しているのだ。
だが活動の仕方はそれぞれ異なる。
評議会のメンバーは主に評議会での活動を優先。
Conciliatorは一般ユーザーのようにゲームをプレイしている最中に、呼ばれたら現場へ向かうという活動の形をとっている。
そして久隆はConciliator、first。つまりリーダー。
NO.2が右腕となりそうだが、ここでも役割は異なる。
ConciliatorではNO.7が特殊な位置づけであり、右腕となるのだ。理由としてはNO.6まではマザーからの任命で決まり、NO.7はfirstから任命されるスタイルだから。
受付にはかなりの人が集まっていた。
恐らくログアウトできずに苦情に来たユーザーたちだろう。
二階にはチーム申請所などがある。
久隆と咲夜は混乱するユーザーたちを尻目に、奥のエレベーターへ向かった。目指すは最上階。
「待って!」
ドアを閉めようとすると、息を切らして走ってくる長身で細身の中性的に見える人物が制止の声をあげた。
灰茶のストレートの髪に黒いに近い灰色の上下のスーツ。その上にコートを纏い、腕にはConciliatorの腕章。
彼女は通称ジャック。
「ジャック、あなたも上へ?」
「first、NO.7。よくぞ御無事で。混乱を沈めるためには状況を知るべきかと」
久隆の質問に彼女は頷くと、そう言った。
「俺のことは久隆で」
「僕は咲夜でいいよ」
ゲーム内でも役職名で呼ばれるのは気恥ずかしいものがある。
二人は同時にそう告げると、彼女は驚いた顔をしたが、
「ではわたしも”神楽”もしくは”優羽”とお呼びください」
低姿勢の彼女は以前から久隆のことを知っており、そのプレイスタイルを尊敬していたという。
しかし久隆は強いわけではない。上手いプレーヤーというわけでもないのだ。自分も初心者でありながら、初心者狩りに合う弱い者たちを必死に守ろうとした。
その精神がマザーに評価されConciliatorのfirst【NO.1】として招集されたのである。
「じゃあ、神楽さんで」
年上の女性ありしかも古参の彼女を下の名で呼ぶのは
名を口にすると彼女は、嬉しそうに笑ったのだった。
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