17・チーム結成
文字数 1,409文字
「セト」
アラビアン風のデザインの白の衣を身に纏いフードを目深に被った少年、セトが名前を呼ばれて相手に気づく。
陶器のように美しく、人形のように造形の整ったセトは無口で愛想がなかった。それと言うのも、兄がいなくなったことがきっかけ。
──あの日から心は凍り付いたままだ。
「利久先輩」
「AG内ではリクでいいって」
姫川利久 、それが相手の名前でありセトが唯一懐いた相手でもある。
利久と共にセトを待ってくれていたのは、彼の幼なじみであり恋人の大崎海斗。
「なんだか顔色悪いけど、何かあったの?」
「いえ」
何か言いたげな表情をして利久を見ていたセトだが、そのまま口をつぐんだ。
この世界で言えないことなど限られている。利久には分からなかったようだが、海斗はなんとなく悟ったように見えた。
案の定、
「奴らに遭遇したのか」
と海斗。
セトも愛想はないが、海斗も同じく愛想のない男だった。
海斗に視線を移すと、ゆっくりと瞬きをする。『奴ら』に関しては言葉にするのも憚 れた。
ここは管理塔。
審議会の詰め所があると言われているのも管理塔だ。
だが一般のユーザーには確かな場所までは知らされていない。管理棟は何十階という高さがあり、広さも他の施設とは桁違いである。
チームなどを申請する場所、個人企画を申請、バグの報告など、ありとあらゆるAGの管理システムが集中している場所だ。
海斗はセトの手首につけられた白いリングに目をやると、
「アイツらが制定されたんだな」
と抑揚のない声でぽつりと零す。
「チーム申請は?」
彼らがここへ来た理由はチーム作成。”指定保護認定者 ”となったセトを守る為に二人が作ると言い出したのだ。
だが、セトをチームに入れる為の条件は非常に厳しい。
ランクの高い者を数人入れることも条件の一つ。利久にはそのアテがあると言っていた。
──ランキング上位者の親戚がいるとは言っていたが……。
単体プレイでランキング上位常連者が今更チームになど入るだろうか?
単体プレイの利点は『自由』ということ。チームに入ればそれなりに行動が制限されることもあるはず。
「申請は一応通ったよ」
と海斗。
「申請は?」
「条件が揃えば、許可も下りる」
と利久。
満たさなければならない条件は二つ。一つはメンバーを集めること。もう一つはチームアジトを作ること。つまり、金と人材が必要と言うことだ。
「どっちも問題はないよ。誘った親戚が自分合わせて七人くらいなら誘えるって言っていたし」
ランキング上位者のフレンドとなればそれなりに強い奴らなのだと想像はつく。
「七人とはまた、具体的だな」
と海斗。
「彼、NO.7だから」
──ナンバーセブン。
そんな呼び方をされる人物はAGにたった一人しかいない。
Conciliator 、NO.7。
調停者の中でも特別な存在。
だがセトはそれが誰なのかまでは知らなかった。
──本名を名乗っていたとしても、フルネーム登録する奴は稀。
親戚と言うだけでは、ランキング上位者の誰なのかまでは分からない。
どの道、いづれ顔合わせするはずだと思ったが、あることに気づく。
『七人とはまた具体的だな』
『彼、NO.7だから』
二人の会話を反芻し、セトは顎に手をやった。
と言うことは、調停者の七人がチーム加入するということ。当然、管理塔のエレベーターで会った彼もそこに居るのだろう。
──困ったな……。
なんとなく彼とは接触を避けたいセトであった。
アラビアン風のデザインの白の衣を身に纏いフードを目深に被った少年、セトが名前を呼ばれて相手に気づく。
陶器のように美しく、人形のように造形の整ったセトは無口で愛想がなかった。それと言うのも、兄がいなくなったことがきっかけ。
──あの日から心は凍り付いたままだ。
「利久先輩」
「AG内ではリクでいいって」
利久と共にセトを待ってくれていたのは、彼の幼なじみであり恋人の大崎海斗。
「なんだか顔色悪いけど、何かあったの?」
「いえ」
何か言いたげな表情をして利久を見ていたセトだが、そのまま口をつぐんだ。
この世界で言えないことなど限られている。利久には分からなかったようだが、海斗はなんとなく悟ったように見えた。
案の定、
「奴らに遭遇したのか」
と海斗。
セトも愛想はないが、海斗も同じく愛想のない男だった。
海斗に視線を移すと、ゆっくりと瞬きをする。『奴ら』に関しては言葉にするのも
ここは管理塔。
審議会の詰め所があると言われているのも管理塔だ。
だが一般のユーザーには確かな場所までは知らされていない。管理棟は何十階という高さがあり、広さも他の施設とは桁違いである。
チームなどを申請する場所、個人企画を申請、バグの報告など、ありとあらゆるAGの管理システムが集中している場所だ。
海斗はセトの手首につけられた白いリングに目をやると、
「アイツらが制定されたんだな」
と抑揚のない声でぽつりと零す。
「チーム申請は?」
彼らがここへ来た理由はチーム作成。”
だが、セトをチームに入れる為の条件は非常に厳しい。
ランクの高い者を数人入れることも条件の一つ。利久にはそのアテがあると言っていた。
──ランキング上位者の親戚がいるとは言っていたが……。
単体プレイでランキング上位常連者が今更チームになど入るだろうか?
単体プレイの利点は『自由』ということ。チームに入ればそれなりに行動が制限されることもあるはず。
「申請は一応通ったよ」
と海斗。
「申請は?」
「条件が揃えば、許可も下りる」
と利久。
満たさなければならない条件は二つ。一つはメンバーを集めること。もう一つはチームアジトを作ること。つまり、金と人材が必要と言うことだ。
「どっちも問題はないよ。誘った親戚が自分合わせて七人くらいなら誘えるって言っていたし」
ランキング上位者のフレンドとなればそれなりに強い奴らなのだと想像はつく。
「七人とはまた、具体的だな」
と海斗。
「彼、NO.7だから」
──ナンバーセブン。
そんな呼び方をされる人物はAGにたった一人しかいない。
調停者の中でも特別な存在。
だがセトはそれが誰なのかまでは知らなかった。
──本名を名乗っていたとしても、フルネーム登録する奴は稀。
親戚と言うだけでは、ランキング上位者の誰なのかまでは分からない。
どの道、いづれ顔合わせするはずだと思ったが、あることに気づく。
『七人とはまた具体的だな』
『彼、NO.7だから』
二人の会話を反芻し、セトは顎に手をやった。
と言うことは、調停者の七人がチーム加入するということ。当然、管理塔のエレベーターで会った彼もそこに居るのだろう。
──困ったな……。
なんとなく彼とは接触を避けたいセトであった。
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