18・ユーザー憧れの17地区
文字数 1,241文字
「で、何処にチームアジトを作るって?」
チームリーダーとなる海斗がサブリーダーの利久に問うと、
「17地区」
と返ってきた。
「馬鹿言え、あんなところに建てられるわけないだろ」
最凶闇地区、AGユーザー憧れのエリア”17地区”。
通常こういったRPGゲームは最後のほうに強いエリアが出てくる。
しかしAGはオンラインであり、アップデートごとにエリアが増えていくタイプ。新規プレイヤーが降り立つのは管理塔前であり、管理塔がある地区を1地区とし、それを取り巻くように一桁台の初心者地区がある。
まるで蛇がとぐろを巻くようにエリアが作られているのだ。
オープン当時、エリアは20地区まで解放されていた。
最終的にはこんな強いところにも行けるようになるという意味で作られたのが、最強地区”17”というわけだ。
しかしそれだけではない。
”17”地区には忌まわしき、システム”レジェンド”が眠っているのではないかと実 しやかに囁かれてきたのである。
足を踏み入れれば即死と言われる”17”地区には、謎が多いのは事実。
「利久は光属性なんだから、即死だぞ」
「えー」
海斗と利久のやり取りを見ていたセトは苦笑いをする。
セトの恐怖の表情が和らいだことに、海斗は安堵したように見えた。
「しょうがない、23地区にしようかな」
23地区と言えば逆にモンスターはいないが、セレブ街。
地価がバカ高く、トレジャーハンターとして活躍している者、カジノで稼いでいる者たちが好んで家 を建てる娯楽地区。
「さすがゲームマスター」
利久はAG内でまだ五人しかいない”ゲームマスター”の称号を持っている。
ふわっとした性格とは裏腹に、凄腕ユーザーなのだ。
AGには賞金上乗せシステムというのがある。
強くなれば強くなるほど装備や装飾品にもゲーム内マネーがかかるもの。モンスターを倒す以外にゲーム内マネーを稼ぐ方法もあるが、よりゲームを楽しんでもらう為にユーザーの負担を減らそうと作られたシステムが『賞金上乗せシステム』だ。
各職業の熟練度があがる度に、モンスターを倒した時の金額にボーナスが加算される。
現在50種を超える職業が存在するが、熟練度は星ナシからトリプルスターまで。全ての職業の熟練度がダブルスター以上で貰える称号がゲームマスター。
つまりゲームマスターともなれば、莫大なボーナスが加算されることになるのだ。
「あそこにチームアジトを建てられるくらいのマネーなら、軽く持ってるよ」
と彼はニコッと笑い、セトの手を掴む。
手を繋いで歩くのは連れであることを強調するためだ。
「じゃあ、行くとするか」
23地区にアジトを建てるのは、モンスターが居ない初心者地区という理由だけではない。
セレブ街ならではの特殊な機能があるからだ。
「今のところ、セトにとって安全なところは、あそこしかないだろうしな」
「そうだね」
海斗は二人を守るように前を歩き、利久たちはそれに続いた。
だが彼らはこの後、自分たちの無力さを嘆くことになるのだった。
チームリーダーとなる海斗がサブリーダーの利久に問うと、
「17地区」
と返ってきた。
「馬鹿言え、あんなところに建てられるわけないだろ」
最凶闇地区、AGユーザー憧れのエリア”17地区”。
通常こういったRPGゲームは最後のほうに強いエリアが出てくる。
しかしAGはオンラインであり、アップデートごとにエリアが増えていくタイプ。新規プレイヤーが降り立つのは管理塔前であり、管理塔がある地区を1地区とし、それを取り巻くように一桁台の初心者地区がある。
まるで蛇がとぐろを巻くようにエリアが作られているのだ。
オープン当時、エリアは20地区まで解放されていた。
最終的にはこんな強いところにも行けるようになるという意味で作られたのが、最強地区”17”というわけだ。
しかしそれだけではない。
”17”地区には忌まわしき、システム”レジェンド”が眠っているのではないかと
足を踏み入れれば即死と言われる”17”地区には、謎が多いのは事実。
「利久は光属性なんだから、即死だぞ」
「えー」
海斗と利久のやり取りを見ていたセトは苦笑いをする。
セトの恐怖の表情が和らいだことに、海斗は安堵したように見えた。
「しょうがない、23地区にしようかな」
23地区と言えば逆にモンスターはいないが、セレブ街。
地価がバカ高く、トレジャーハンターとして活躍している者、カジノで稼いでいる者たちが好んで
「さすがゲームマスター」
利久はAG内でまだ五人しかいない”ゲームマスター”の称号を持っている。
ふわっとした性格とは裏腹に、凄腕ユーザーなのだ。
AGには賞金上乗せシステムというのがある。
強くなれば強くなるほど装備や装飾品にもゲーム内マネーがかかるもの。モンスターを倒す以外にゲーム内マネーを稼ぐ方法もあるが、よりゲームを楽しんでもらう為にユーザーの負担を減らそうと作られたシステムが『賞金上乗せシステム』だ。
各職業の熟練度があがる度に、モンスターを倒した時の金額にボーナスが加算される。
現在50種を超える職業が存在するが、熟練度は星ナシからトリプルスターまで。全ての職業の熟練度がダブルスター以上で貰える称号がゲームマスター。
つまりゲームマスターともなれば、莫大なボーナスが加算されることになるのだ。
「あそこにチームアジトを建てられるくらいのマネーなら、軽く持ってるよ」
と彼はニコッと笑い、セトの手を掴む。
手を繋いで歩くのは連れであることを強調するためだ。
「じゃあ、行くとするか」
23地区にアジトを建てるのは、モンスターが居ない初心者地区という理由だけではない。
セレブ街ならではの特殊な機能があるからだ。
「今のところ、セトにとって安全なところは、あそこしかないだろうしな」
「そうだね」
海斗は二人を守るように前を歩き、利久たちはそれに続いた。
だが彼らはこの後、自分たちの無力さを嘆くことになるのだった。
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