部活の定義
文字数 1,150文字
鈴沢栞を加え、４人となった地球防衛部。
その記念すべき初回活動が、今まさに始まろうとしていた……！
じゃあ早速、活動を始めよう！
それで、部活動は何をするの？
もちろん！
地球の平和を――！
そうじゃなくって、そのための活動って何をするの？
それはもちろん……！
……うーん。
…………。
もしかして、ノープランなんですか？
梓と２人の時は、だいたい部員集めだったから……。
こうして正式な部活動を始めるのは、今日が始めてなので……。
目的を見失った、と……。
そもそも、この部活って地球防衛部なのよね？
いったい何から地球を防衛するの？
もちろん！
凶悪な侵略者の手から！
それはどこに？
どっかに！
…………。
（うわぁ、栞姉が初めて見せる顔だぁ……胃に穴が空きそう……）
こうして正式な部活になったことですし、この部でこれから何をしていくのか……それを最初に決めませんか？
地球を守る！
ひなた、少し黙ってて。
普通に考えれば、奉仕活動じゃないですか？
地球を防衛してるかは別として、人のためになりそうですし。
さすが宗ちゃん！
ナイスアイデア！
それは確かに、部活動としての活動報告にも使えますね。
でも、ちょっと地味じゃない？
ド派手な活動があるなら言ってみて下さいよ。
結局その日はろくな案も出ることなく、校内の美化活動をすることになったのである。
ん！ これで粗方終わりかなぁ。
（……でもこれ、地球防衛部って言うよりも、掃除部になってる気が……）
…………。
（そもそも、僕は梓先輩と二人で掃除ができると思ったのに、結局一人でゴミ集めてるってどういうことだよ！）
…………。
（でもまあ、まだまだ二人きりになれるチャンスはあるだろうから、それまでの辛抱ってことで……）
…………ねえ。
うぉおおいぃ！！
ビックリしたぁ！
顔がコロコロ変わってて面白い人。
あ、あの……どちら様で？
一年の、冴橋響。
ヨロシク。
あーどうもどうも。
僕は山田――。
知ってる。
山田宗介。地球防衛部に所属。
……なぜ僕のことを知ってるんですか？
この学校で、あなたのことを知らない人なんていない。
何しろ、あなたは――。
あーはい。もういいです。
言わなくていいですから……。
全て察した。
それで、冴橋さんはどういったご用件で？
山田くんだけに、大切な話がある。
僕に……？
（それって……まさか……！？）
最初に言っておくけど、愛の告白とかそんなんじゃないから。
あ、はい……。
話なんだけど、ちょっと場所変えるから。
ってことで、皆さんよろしくお願いします。
彼女の声と共に、どこからともなく大量のスーツ姿の男が姿を現した。
彼らは宗介の両脇をガッチリと抱え、移動を始める。
え？ ちょ、ちょっとこれ……。
つべこべ言わず、付いて来てください。
付いて行ってないから！
これ強制連行だから！
果たして、宗介の命運や如何に。
