飛燕の如く
文字数 1,768文字
学校の教室――。
クソでかいため息を吐く宗介である。
ガラララ――ッ!!
宗介は光の速さでバッグで顔を隠した。
慌てて入り口まで駆け出す宗介。
そのままひなたの手を握り、教室を飛び出した。
人気のない校舎の陰――。
ひなたは視線を下に向ける。
宗介が釣られて見ると、彼の手は彼女の手をしっかりと握りしめていた。
宗介は膝から崩れ落ちた。
宗介はうなだれた。
そしてひなたは嵐のように去っていった。
そんな宗介の願望も虚しく、事態は、彼の想像以上に早く進んでいた。
噂は噂を呼び、話は飛燕の如く校内を巡る。
それは新入生に留まることなく、2年生、3年生の間でもまことしやかに囁かれていた。
そしてついには、とある人物の耳にまで。