地球の平和のために

文字数 1,709文字

 誰とは言えないが世界的有名人の方々には帰っていただきました。
……と、このように地球外敵性侵略者の脅威は全世界共通であり、各国が危機感を抱いている。
それはわかったんですけど、結局僕にどうしろと?
言っておきますけど、僕なんてどこにでもいるような普通の高校生で、むしろヘタレで、一人じゃ何もできない上にしょうもない嘘付くようなダメ人間ですよ?
 自己分析が過ぎる宗介である。
そう……我々のリサーチでも、君は何ら特異点のない平凡な高校生であることは判明している。
だからこそ、この任務に相応しい。
だからその任務ってのは……。
簡単な話だ。

侵略者の間者を、見つけ出して欲しい。

それ、簡単ですか?
まあ聞け。

君は、地球防衛部に所属しているな?

肝はそこにある。

侵略者らによる諜報活動は、実のところ、世界中で観測されている。

そのほとんどが偶発的に発覚したところが多く、我々が知らないだけで、奴らは日々地球のことを調査していることは間違いない。

……しかしその諜報活動が、ある時を境に、突然影を潜めてしまった。

そしてその時期は、桐島ひなたが『地球防衛部』を発足した時期と一致している。

え!?

それってどういうことですか!?

我々の調べた限り、高校生にして、『地球防衛』という名を冠するチームを大々的に立ち上げ、活動を始めようとした記録はない。

よって地球防衛部とは、現状地球上で唯一存在する、学生主体の地球防衛チームということになる。

あんなとんでもねえ名前の部活が地球のあちこちにあってたまりますか。

つまり、侵略者は畏れたのだ。

地球の将来を担う若人達による、地球防衛意識の醸成を。

侵略者による諜報活動が鈍化したことこそ、その証拠と言えるだろう。

まさかの抑止力!!
だが、相手は半世紀以上……もしかすれば、人類が文明を築いてから地球を監視し続けた侵略者。

それほどの脅威を持つ者達が、その程度の障害で手を引くとは到底考えにくい。

あの地球防衛部だけで諜報活動やめちゃう侵略者なんて、ほっといても問題ないと思うんですけど……。
奴らを甘く見るな。

その科学力を鑑みるに、奴らが本気を出せば……。

地球など、秒で木っ端微塵に出来るだろう。
それもう抵抗するだけ無駄じゃないですか?
地球を破壊することなどいつでも出来るが、それは行われていない。

ともすれば、やはり奴らの目的はあくまでも“侵略”ということだ。

話を戻そう。

侵略者が地球防衛部を脅威に思っている以上、奴らは、何かしらの調査を行うことは間違いない。

つまりは、侵略者側が地球防衛部にコンタクトを取る可能性が極めて高いと言える。

もしかすれば、人間に紛れて、既に栄優学園に潜入している可能性すら大いにあり得る。

ちょっと待ってください。

……それって、要するに……。

そうだ。

地球外敵性侵略者が、君の周囲にいるということだ。

君には、その潜入者を見つけ出して欲しい。
あ、無理っす。
 即答する宗介だった。
決断が早いな……。
いやいや、そんなの急に言われても無理でしょ。

だいたい冴橋さんも同じ学校なら、冴橋さんがすればいいじゃないですか。

いや、私はパイプ役に徹する。

有事の事態を考えても、部活動内外にそれぞれ人員を配置することが好ましい。

それって有事の事態だと僕が真っ先にヤバいってことじゃないですか!
大丈夫だ。

骨は拾ってやるから安心するといい。

余計不安になりましたよ!
とにかく! そんなちょー重要任務、僕には無理です!

そもそも、なんで一般人である僕がそんなことを……。

地球を愛する心、さ……。
おたくらことの経緯を全部知ってるでしょ。

どうせ全部調べてるんでしょ。

冗談はここまでにしておくとして、成功した暁には報酬を出そう。

先程も説明したとおり、地球外敵性侵略者は全世界の危機だからな。

支援金も相当額保有しているからこそ、そこそこの額は出せるだろう。

要するに金を出すから命懸けの任務に就けってことですか?

なんか、そういうのってちょっと軽蔑しちゃいますよ。

日本円で50億くらいは出せるだろう。

世界の命運を左右する金額としては端金かもしれないが……。


全身全霊を以て任務に当たらせてもらいます!

地球の平和のために!!

 地球の平和のためらしい。
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登場人物紹介

山田宗介。栄優学園1年。

本作の主人公。

なんやかんやで地球防衛部に入部する。

ツッコミ担当であるものの、時折暴走することも。

密かに、地球外敵性侵略者のスパイを探すことに。

桐島ひなた。栄優学園2年。

地球防衛部の創設者にして部長。

天真爛漫という名のお花畑。

正義のヒーローを夢見る。

姫野梓。栄優学園3年。

地球防衛部の副部長。

全てを包む慈愛の心を持つ女神。

桐島ひなたの数少ない理解者にして親友。

宗介を地球防衛部へ引き込んだ元凶。

鈴沢栞。栄優学園2年。

山田宗介の隣同士に住む幼馴染というより姉のような存在。

超過保護。

実はめちゃくちゃ金持ちであるが、宗介は知らなかったりする。

柊木ルシル。年齢不詳。

鈴沢家に仕えるメイドさん。

割と常識人で、辛辣なツッコミが冴える。

鈴沢栞とは主従関係にあるものの、むしろ友達に近くファーストネームで呼び合う。


須藤秋良。栄優学園1年。

何かしら部活に所属しなければいけないらしく、幽霊部員として入部。

あまり心を開かない感じ。

しかしながら、どうやら秘密があるようです。

エリカ・ミュラー。栄優学園2年。

外国からの留学生。

半片言を駆使するが、実は日本語ペラペラとの噂も。

美人ではあるが、時折裏の顔がチラホラと。

冴橋響。栄優学園1年。

地球外敵性侵略者の捜索を宗介に依頼した人物。

世界的組織の一員らしいが、詳細は不明。

ついでに実年齢も不明。

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