地球を愛する心
文字数 1,879文字
春――。
麗らかな陽射しの中、満開の桜並木は風に揺れる。桃色の花弁が風に舞い、空に彩を添え、新たな季節の到来を祝うかのようだった。
着慣れないブレザーに見を包んだ新入生は、期待と不安を抱えながらも新しい校舎を見上げながらこれからの学園生活に思いを馳せる。
クラスで各々自己紹介をしたものの、登校初日から親しい友人など出来るはずもなく。
結果、お互い距離感を図り合うだけに留まり放課後を迎えるのだった。
廊下を歩いていた宗介は、窓際に立つ一人の少女を見つける。
そして彼の目の前の少女は、少しずつ表情を柔らかくし始めた。
少女はそのまま走り始める。
わけがわからない宗介だったが、備品室まで案内してくれるのだろうと思い、とりあえず付いて行くことに。だがその扉には大きな紙がベタリとビニールテープで貼られ、見るからに手書きといった感じで、とある言葉が書かれていた。
室内はごく普通の部屋だった。部屋の至るところに備品が並べられ、或いは積まれ、中央には無理やり置かれたであろう長机が2つ。
奥の窓からは夕日が射し込み、光の斜線の中では小さな埃が踊るように浮かんでいた。