自由意志の班編成という悪魔的所業
文字数 1,847文字
宗介が次の授業のため理科室に向かっている途中、梓は声をかけてきた。
秋良……地球防衛部に加入した須藤秋良のことであることを、宗介は思い出す。
梓のお願いに、無条件で了承する宗介。
まさにパブロフの犬。
理科室――。
彼の見つめる先には、秋良がいた。
思ってて悲しくなった宗介であった。
はーいじゃあ、二人組を作ってくださーい。
理科担当先生の、悪魔の指示が飛ぶ。
意を決した宗介は立ち上がり、秋良の元へと向かった。
そして彼女が宗介に気付くと、ギロリと睨みつけてきた。
心の中で絶叫しつつも、一度息を吐き出し、宗介は秋良の隣に座る。
心に痛恨の一撃をくらう宗介であった。
それからも重苦しい雰囲気のまま、授業が進み始めた。
変な度胸だけは身に付いた宗介であった。
宗介は、本当にそれ以上部活の話をすることはなかった。
時間は経過し、放課後の部室――。
梓と宗介……二人のやり取りを横で見ていた栞は、誰にも気付かれることなく、膝の上の手を強く握り締める。
栞の中で沸き起こる濁った感情……。
その隆起に気付いたのは、その部屋の中で、一人だけだった。
そしてその人物は……。
面白がってた。